山口正紀

ジャーナリスト 山口正紀

山口正紀（1949年 - 2022年）は、日本のジャーナリストであり、元読売新聞記者です。大阪府堺市に生まれ、大阪市立大学経済学部を卒業後、1973年に読売新聞社に入社しました。宇都宮支局、甲府支局、東京本社地方部、婦人部・生活情報部、情報調査部、データベース部など、様々な部署を経験し、2003年末に退社しました。

読売新聞退社後は、フリージャーナリストとして活動を開始し、特に人権問題やメディア報道のあり方について積極的に発言しました。1997年からは、『週刊金曜日』に「人権とメディア」というテーマで隔週連載を続け、メディアの問題点を鋭く指摘し、ジャーナリズムのあるべき姿を追求しました。

2022年12月、癌のため逝去しましたが、その生涯を通じて、ジャーナリズムの倫理と責任を問い続けました。

人物

山口正紀は、そのキャリアを通じて、メディアが社会に対して果たすべき役割を深く考え、行動した人物です。読売新聞在籍時代から、現場での取材経験を通じて、報道のあり方に対する問題意識を培いました。フリージャーナリストとなってからは、その問題意識をさらに深め、メディアの報道姿勢や人権侵害の問題に積極的に取り組みました。

『週刊金曜日』での連載では、具体的な事件や事例を取り上げながら、メディアの報道が人権を侵害する可能性や、権力との癒着といった問題点を指摘しました。また、メディア自身の責任を問い、報道倫理の確立を強く訴えました。

山口正紀は、メディアの問題点を指摘するだけでなく、人権問題や社会問題にも積極的に関わり、その解決に向けて行動しました。彼の著作は、メディア関係者だけでなく、広く一般の人々にも読まれ、社会的な問題に対する意識を高める上で大きな役割を果たしました。

著書

山口正紀は、数多くの著書を執筆し、ジャーナリズム、人権、メディアに関する重要な問題を提起しました。以下に主な著書を紹介します。

『資料集　人権と犯罪報道』（1986年、日本評論社）：犯罪報道における人権侵害の問題を指摘した初期の著作です。
『情報の銃弾――検証「ロス疑惑」報道』（1989年、日本評論社）：当時の社会を騒がせた「ロス疑惑」報道を検証し、メディアの報道姿勢の問題点を指摘しました。
『天皇とマスコミ報道』（1989年、三一書房）：天皇に関する報道のあり方を批判的に考察しました。
『男性改造講座――男たちの明日へ』（1993年、ドメス出版）：男性の生き方やジェンダーの問題に焦点を当てた著作です。
『匿名報道――メディア責任制度の確立を』（1993年、学陽書房）：匿名報道の問題点と、メディア責任制度の必要性を訴えました。
『報道の人権侵害と闘う本』（1995年、三一書房）：報道による人権侵害に立ち向かうための具体的な方法を提示しました。
『無責任なマスメディア――権力介入の危機と報道被害』（1996年、現代人文社）：メディアの権力介入と報道被害の問題を指摘しました。
『テキストブック　現代の人権』（1997年第2版、2004年第3版、日本評論社）：人権問題に関する入門書として、広く読まれました。
『〈男らしさ〉と〈男性問題〉――揺らぎ、動き始めた男たち』（1998年、広島県女性会議）：男性の生き方やジェンダーの問題について論じた著作です。
『ニュースの虚構　メディアの真実――現場で考えた‘90〜‘99報道検証』（1999年、現代人文社）：1990年代の報道を検証し、メディアの虚構を指摘しました。
『人権読本』（2001年、岩波書店）：人権問題に関する基本的な知識を解説した著作です。
『検証・「拉致帰国者」マスコミ報道』（2003年、社会評論社）：北朝鮮による拉致被害者の帰国に関する報道を検証し、メディアの問題点を指摘しました。
* 『メディアが市民の敵になる――さようなら読売新聞』（2004年、現代人文社）：読売新聞を退社した自身の経験を踏まえ、メディアのあり方を批判的に論じた著作です。

これらの著作を通じて、山口正紀は、メディアの報道姿勢、人権侵害、権力との関係といった重要な問題について、多くの人々に深い影響を与えました。彼の活動は、ジャーナリズムの倫理と責任を考える上で、現代社会においても非常に重要な示唆を与え続けています。

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