山口龍之助

山口龍之助（1874年2月 - 1939年5月7日）は、昭和時代初期の仙台市長である。第8代の仙台市長として、その名を歴史に刻んだ。

宮城県石巻市に生まれ、初期の経歴は宮城県土木課長としてその手腕を発揮した。その後、仙台市長へと転身を遂げ、市政を担うこととなる。

1927年8月13日の仙台市会（市議会）投票において、山口は15票を獲得し、前市長であった鹿又武三郎の13票を上回って当選を果たした。しかし、この選挙戦は山口派と鹿又派の激しい対立を招き、多数派工作が繰り広げられるなど、その過程は決して平坦ではなかった。市会において過半数の支持を得られなかった山口は、市長当選後も困難な市政運営を強いられることとなる。また、山口の擁立・選出は、当時の田中義一内閣と宮城県知事・牛塚虎太郎による政友会拡張政策によるものであり、市民の意向とはかけ離れたものであったという批判も存在する。

1930年6月5日、山口が県土木課長を務めていた時代に発生した土木疑獄事件の発覚に伴い、責任を取る形で市長を辞任し、政界から一時引退した。同年に行われた仙台市長選挙に再度立候補するも、新人の渋谷徳三郎に1票差で敗れ、市会の推薦を得ることはできなかった。

政治の舞台から退いた後は、仙台商工会議所顧問として活動した。

山口龍之助の仙台市長としての道のりは、決して平坦なものではなかった。政治的な駆け引き、疑獄事件、そして市民との乖離。これらの要素が複雑に絡み合い、彼の政治家人生を彩った。その功績と苦難は、仙台市の歴史において特筆すべき出来事として語り継がれている。

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