山城むつみ

山城むつみ氏（やましろむつみ、1960年9月24日-）は、日本の文芸批評界を代表する論客の一人です。本名は山城康治。現在、東海大学文化社会学部文芸創作学科教授として後進の指導にあたっています。

大阪府出身の山城氏は、奈良県立郡山高等学校卒業後、大阪外国語大学外国語学部ロシア語学科に進学しました。在学中は、著名な評論家である法橋和彦氏に師事し、批評家としての基礎を築いたとされています。

その才能は早くから開花し、1992年には「小林批評のクリティカル・ポイント」で第35回群像新人文学賞評論部門を受賞。翌年には処女作『文学のプログラム』を刊行し、文壇に鮮烈なデビューを飾りました。

その後、山城氏は、ロシア文学、とりわけドストエフスキー研究に傾倒していきました。『文學界』誌上において2004年から連載を開始した「ドストエフスキー」シリーズは、その集大成と言えるでしょう。同シリーズは、『群像』誌へと移り、単行本『ドストエフスキー』（講談社）として結実。この著作により、2011年には第65回毎日出版文化賞を受賞するなど、高い評価を獲得しました。

ドストエフスキー研究以外にも、山城氏は、ヴァルター・ベンヤミンについての独自の解釈を展開しています。「新潮」誌上に掲載された「ベンヤミン再読――運命的暴力と脱措定」や「ベンヤミンのメキシコ学――運命的暴力と翻訳」といった長編批評は、ベンヤミン研究に新たな視座をもたらすものとして高く評価されています。

さらに、山城氏は『すばる』誌において「連続する問題」と題した連載評論を2018年から2020年にかけて執筆。全15回にわたるこの連載は、現代社会における様々な問題を鋭くえぐり出すものとして注目を集めました。

山城氏の著作は、ドストエフスキーやベンヤミンといった古典的な文学作品への深い洞察のみならず、現代社会への鋭い批評眼も兼ね備えています。その著作リストは、多岐に渡り、単著としては『文学のプログラム』『転形期と思考』『ドストエフスキー』『連続する問題』『小林秀雄とその戦争の時――『ドストエフスキイの文学』の空白』などがあり、佐藤泰正氏との共著『文学は＜人間学＞だ。』も発表しています。これらの著作は、多くの読者や研究者から高い評価を得ており、日本の文芸批評界に大きな影響を与え続けています。

山城むつみ氏の今後の活動にも、文芸批評界は大きな期待を寄せていると言えるでしょう。彼の鋭い分析力と深い洞察力は、これからも多くの読者を引きつけ、文芸批評の新たな地平を切り開いていくことでしょう。 Cinii論文データベースにも多くの論文が掲載されており、その研究の広範さを伺い知ることができます。

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