山埜井喜美枝

山埜井 喜美枝（やまのい きみえ）

山埜井喜美枝は、日本の著名な歌人であり、1930年2月5日に旧旅順市（現在の中華人民共和国）に生まれました。本名は廣津喜美枝で、配偶者には同じく歌人である久津晃がいます。

作風と特徴

彼女の詩は、古語を巧みに用いた華やかで軽快なスタイルが特徴です。美しい日本の言葉を駆使した旅の歌や心安らぐ食事に関する歌には、日本語の豊かな歴史が感じられ、その言語感覚の豊かさが際立っています。年齢や死について詠む際も、彼女は冷静で余裕を持った表現をし、詩の中に激しい感情を見せることなく現実を受け止めていました。これにより、読者は彼女の詩を通じて、静かな力強さや和やかさを感じ取ることができました。

経歴

山埜井は1945年、旅順での敗戦を経験後、母と三人の弟とともに生活し、大分県に引き揚げます。1956年に歌の世界へと踏み出し、同年には文学サークル「未来」に入会しました。その後、1974年に第一歌集『やぶれがさ』を出版し、その後も多くの作品を世に送り出しました。

彼女は1980年に「未来」を退会し、自らの同人誌『飈』を創刊しました。この同人誌は2016年まで続き、彼女の長い創作活動の一助となりました。また、様々な文学活動にも参与し、福岡市文学賞運営委員や福岡市民芸術祭の運営委員など、多岐にわたってその知識と才能を活かしました。

受賞歴

山埜井は数々の文学賞を受賞しています。1979年には第10回福岡市文学賞を受賞し、その後も多くの作品で高い評価を受けました。2004年には第29回福岡市文化賞や第19回詩歌文学館賞を受賞し、彼女の名声は確かなものとなりました。

さらに2019年には筑紫歌壇賞が創設され、その中に「山埜井喜美枝賞」が名を連ねることとなりました。彼女の死後もその業績は色あせることなく、多くの人々に影響を与え続けています。

最後の日々

長い人生を歩んできた山埜井喜美枝は、2019年6月18日に呼吸不全により89歳で亡くなりました。彼女の詩は今もなお多くのファンに愛され、彼女の言葉は心に残り続けることでしょう。歌人としての彼女の存在は、日本の短歌界において永遠のものとして位置付けられています。彼女の作品は、短歌という文学形式を深く理解し、新しい表現を模索する者たちにとって、貴重な教材であり、心の拠り所となっています。

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