山岳猟兵

山岳猟兵 (Gebirgsjäger)

山岳猟兵は、ドイツおよびオーストリアにおける山岳兵の部隊で、戦闘および特殊任務に特化した精鋭部隊です。山岳の持つ厳しい環境での戦闘を念頭に置き、その訓練や装備を整えています。名称の「Gebirgsjäger」は、ドイツ語で「山岳」と「猟兵」を意味し、両者の習合を表しています。

起源と歴史

オーストリアの山岳猟兵は、オーストリア＝ハンガリー帝国の国土防衛隊が起源であり、歴史的には三つの連隊から成っています。一方、ドイツの山岳猟兵は、第一次世界大戦時のアルペン軍団の伝統を引き継いでいます。

両国の部隊は、部隊章として薄雪草（エーデルヴァイス）を用いており、これは1915年の南方戦線での出来事に由来しています。この時、オーストリアの国土防衛隊を救援に駆け付けたアルペン軍団に対して、感謝の意を込めてエーデルヴァイスを贈ったことから始まりました。エーデルヴァイスは1907年にオーストリア＝ハンガリー帝国のシンボルとして制定され、現在でも山岳猟兵の制服の襟に身に着けられています。

第二次世界大戦の貢献

第二次世界大戦では、ドイツ国防軍陸軍や武装親衛隊が山岳猟兵部隊を強化しました。師団ごとにその実力には大小の差があり、第1山岳師団はエリートとして認知されていたのに対し、他の部隊は必ずしも高い評価を受けていませんでした。1941年にはノルウェーで本格的な編成が行われ、軽装備で輸送手段としてラバを活用しました。実際の戦闘においては、多くの戦役に参加し、特にヴェーゼル演習作戦や北極狐作戦などが有名です。

現代の山岳猟兵

1956年にドイツ連邦軍が設立された際、山岳猟兵部隊は再編成され、現在もその伝統を受け継いでいます。彼らは第1山岳師団を経て、現在は第23山岳猟兵旅団として活動しています。この旅団はバイエルン州のバートライヘンハルを拠点とし、数つの大隊を擁しています。特に、山岳猟兵たちはエーデルヴァイスを付けたグレーの帽子を被っており、そのスタイルは特徴的です。

オーストリア軍においても、インスブルックの第6山岳旅団が伝統を継承しています。例として、第23猟兵大隊、第24猟兵大隊などがあります。

伝統と文化

ドイツ及びオーストリアの山岳猟兵の士兵は、特有の制服を着用し、エーデルヴァイス章を誇示しています。また、彼らの伝統的な軍歌には「近衛狙撃隊行進曲」があり、これが両国の山岳猟兵隊の一体感を高めています。

このように、山岳猟兵は単なる軍事部隊に留まらず、それぞれの国家における文化や歴史に根ざした重要な存在であります。彼らの厳しい訓練と戦斗における奉仕は、今日でも多くの人々から尊敬されています。

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