山崎俊雄

山崎 俊雄

山崎 俊雄（やまざき としお、1916年1月29日 - 1994年4月16日）は、日本の技術史研究における重要な人物です。東京工業大学の名誉教授として長く教鞭を執り、科学技術史や産業考古学といった分野の発展に大きく貢献しました。

経歴

山崎俊雄氏は石川県松任町（現在の白山市）で生まれ育ちました。学問の道を志し、東京工業大学で学びました。卒業後、日本科学協会が発行する科学啓蒙誌『科学知識』の編集に携わり、一般に向けた科学知識の普及に努めます。

その後、大学教育の道に進み、1967年に母校である東京工業大学の教授に就任します。さらに活躍の場を広げ、1976年には広島大学、1979年には阪南大学の教授を務め、多くの学生や研究者を育成しました。1987年に大学教授としての職を退きましたが、長年の教育・研究功績に対し、同年には明治村賞が贈られています。

学会活動

学術界においても、山崎氏は中心的な役割を果たしました。特に、日本の科学史研究を代表する組織である日本科学史学会では、1989年から1993年まで会長を務め、学会活動の活性化と科学史研究の推進に尽力しました。

また、産業遺産に関心を寄せ、その研究と保存の重要性を訴え、産業考古学学会の設立に主導的に関わりました。これは、技術史を単なる文献研究に留めず、現存する産業遺産からも歴史を読み解こうとする新たな試みであり、この分野の確立に大きな足跡を残しました。

著作活動

山崎氏の研究成果は、多岐にわたる著作として結実しています。日本の技術や工業の歴史、社会との関わりを深く掘り下げた単著を複数発表しています。

主な単著には以下のようなものがあります。

『化学技術史 大工業と化学技術 科学史大系』（1953年）
『工業と日本 私たちの社会科教室』（1957年）
『技術史 日本現代史大系』（1961年）
『工業と日本』（社会科学習シリーズ、1967年）

また、多くの研究者と共同で、共著や編著も多数手がけています。技術史、自然科学、産業遺産など、幅広いテーマを扱っています。


さらに、海外の古典的文献や重要な研究成果を日本に紹介するため、多くの翻訳も手掛けました。古代の鉱山・冶金術に関するアグリコラの古典『デ・レ・メタリカ』の全訳研究の編纂をはじめ、都市の歴史、電子工業の黎明期、自動車や鉄道、ロケット、航空といった輸送技術の歴史、技術史の総覧など、その翻訳範囲は広範にわたります。これらの翻訳活動は、日本の研究者が国際的な視点から技術史を捉える上で非常に重要な役割を果たしました。

功績

山崎俊雄氏の研究、教育、そして学会活動は、日本の技術史研究の基礎を築き、その発展を大きく牽引しました。特に産業考古学という分野を確立した功績は大きく、技術遺産の保存と研究の重要性を社会に広く認識させるきっかけを作りました。その多角的な活動を通じて、技術が歴史や社会、文化といかに深く結びついているかを示し、後世の研究者たちに多大な影響を与え続けています。

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