山川征夫

山川 征夫

1944年4月22日生まれ。日本の実業家として知られ、銀行経営から企業再生、さらには大手私鉄グループの再建に至るまで、幅広い分野で要職を歴任しました。

一橋大学を卒業後、1969年に株式会社三菱銀行に入行し、金融業界でのキャリアをスタートさせました。銀行では主に審査部門を中心に経験を積み、1988年には同行のお茶の水支店長、1993年には審査部長に就任するなど、着実にキャリアアップを重ねました。特に審査分野での深い知見は、その後の多様な役割の基盤となりました。銀行合併を経て、株式会社東京三菱銀行発足後は審査第二部長を務め、1997年には取締役審査第二部長として銀行経営の一翼を担いました。1998年にはダイヤモンド信用保証株式会社の社長に就任しています。

金融機関としての長年の経験を活かし、2002年には株式会社整理回収機構の取締役副社長に就任しました。この時期は、改正された金融再生法の下で、企業再生が整理回収機構の重要な役割の一つと位置づけられた転換期にあたります。山川氏は、この新たな使命を果たすべく設置された企業再生ファンドの創設検討プロジェクトチームにおいて、責任者としてその立ち上げを指揮しました。日本の金融システム安定化と経済の活性化に貢献する重要な役割を果たしたのです。

2004年に発生した西武鉄道グループのオーナー逮捕という事態を受け、グループの経営再建が喫緊の課題となりました。主要取引銀行の一つであった東京三菱銀行の出身者として、山川氏は2005年から西武グループの再建に携わることになります。西武建設株式会社の副社長と兼務する形で、西武鉄道株式会社の専務取締役上席執行役員に就任しました。困難な状況下で、グループの立て直しに向けた手腕を発揮しました。その後、2006年には西武バス、西武運輸、伊豆箱根鉄道といったグループ内企業の取締役や、株式会社西武ホールディングスの執行役員も兼務するなど、グループ全体の経営改革に関与しました。

2008年には西武鉄道株式会社の代表取締役副社長および副社長執行役員に昇任し、グループ再建の中核を担いました。経営体制の強化や財務基盤の安定化など、多岐にわたる課題に取り組み、グループ再生に貢献しました。2010年に西武鉄道の副社長職を退任しました。

西武グループ退任後も、その豊富な経験と実績は様々な分野で求められました。2010年には百五銀行および小野測器の監査役に就任し、企業のコーポレート・ガバナンス強化に貢献しました。2013年にはジョイフル本田の取締役（コンプライアンス担当）として、企業倫理や法令遵守体制の構築に関わりました。さらに、2016年には株式会社丸和運輸機関の取締役を務めるなど、多岐にわたる企業の経営に参画し、その知見を活かしています。

また、金融や企業再生に関する著作にも関わっており、「書架 『ローンレビューの実践』」や「共著『RCCにおける企業再生』」といった書籍を通じて、自身の経験や専門知識を発信しています。これらの著作は、金融実務や企業再生の分野における貴重な文献となっています。

山川征夫氏は、銀行でのキャリア、整理回収機構での公的な役割、西武グループの再建、そしてその後の多方面での経営関与を通じて、日本の経済界において重要な足跡を残しています。特に、危機的な状況にある企業の再生における彼の貢献は特筆されるべき点です。

もう一度検索