山形県立置賜農業高等学校飯豊分校

山形県立置賜農業高等学校飯豊分校

概要

山形県立置賜農業高等学校飯豊分校（やまがたけんりつ おきたまのうぎょうこうとうがっこう いいでぶんこう）は、かつて山形県西置賜郡飯豊町に所在した県立高等学校です。地域に根差した農業教育を長年にわたり提供してきましたが、山形県の公立高等学校再編計画に基づき、2013年3月をもってその歴史に幕を下ろし、母体校である山形県立置賜農業高等学校に統合されました。

沿革

飯豊分校の起源は、戦後間もない昭和23年（1948年）に設立された山形県立豊原高等学校に遡ります。当時は定時制課程の農業科単独校として開校し、地域の農業後継者育成や社会人の学び直しに貢献しました。設立当初は、戦後の食糧難や復興期における農業技術の普及・向上という、時代の要請に応える重要な役割を担っていました。

その後、学校は発展を遂げ、昭和30年（1955年）には山形県立飯豊高等学校と改称され、独立した全日制高校としての体制を確立しました。この時期には、地域の中等教育機関として、地元の生徒たちが高校教育を受ける貴重な場となりました。

しかし、昭和39年（1964年）には学校の組織改編が行われ、山形県立置賜農業高等学校の分校となり、「山形県立置賜農業高等学校飯豊分校」として歩むことになります。分校化後も、飯豊町における唯一の高等学校として、地域に密着した教育活動を続け、多くの卒業生を社会に送り出してきました。

長年にわたり、地域社会とともに歩んできた飯豊分校でしたが、少子化の進行や県立高校全体の最適配置を目指す山形県の公立高等学校再編計画の波を受け、その将来が検討されることとなりました。

設置学科

本校に設置されていた学科は、全日制課程の農業科のみでした。この学科では、生徒たちは農業生産の基礎から応用までを幅広く学びました。栽培技術、畜産、土壌肥料、病害虫防除といった専門的な知識に加え、農業経営や流通についても学習しました。実習を重視した教育が行われ、校内の農場や実習施設を活用して、実際に作物を育てたり家畜の世話をしたりするなど、実践的なスキルを身につけることができました。地域農業の担い手として活躍できる人材の育成を目指し、将来、故郷で農業に従事することを目指す生徒たちにとって、かけがえのない学びの場でした。

所在地・アクセス

学校は山形県西置賜郡飯豊町に位置しており、自然豊かな環境の中にありました。最寄り駅は、JR東日本米坂線の羽前椿駅で、駅から学校までは徒歩でおよそ12分程度と、比較的便利な場所にありました。生徒たちは主に徒歩や自転車、公共交通機関を利用して通学していました。

閉校

山形県立置賜農業高等学校飯豊分校は、山形県が進めた公立高等学校の再編統合計画の一環として、平成25年（2013年）3月31日をもって閉校しました。長きにわたり飯豊町の教育、特に地域農業の振興に貢献してきた学び舎は、母体校である山形県立置賜農業高等学校に統合される形でその歴史を終えました。

閉校は、地域住民や卒業生にとって大きな節目となり、寂しさを感じさせる出来事でした。しかし、飯豊分校で学んだ多くの卒業生は、地域社会の様々な分野で活躍しており、学校が地域に残した功績は大きく、その記憶は今も地域の人々の心に深く刻まれています。閉校により独立した校舎はなくなりましたが、本校が果たしてきた役割と、そこで培われた精神は、確かに地域に引き継がれています。

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