山本千夏 (バスケットボール)

山本千夏（やまもと ちなつ）は、1991年8月12日に千葉県で生まれた日本の元女子バスケットボール選手である。身長175cm。主にスモールフォワードのポジションでプレーし、巧みなオフェンススキルと献身的なディフェンスを持ち味とした。チームメイトやファンからは愛称である「ウィル」と呼ばれ親しまれた。

バスケットボールは東京成徳大学中学校・高等学校で本格的に取り組んだ。中学時代からのチームメイトには、後にプロでも苦楽を共にする篠原恵がいた。中学2年時には全国の有望選手が集まるジュニアオールスターに出場し、その才能を示したが、準決勝で同学年のライバルである渡嘉敷来夢を擁する埼玉選抜に惜しくも敗れ、決勝進出はならなかった。高校でも篠原と共にチームの主力として全国大会に毎年出場。しかし、ここでも渡嘉敷が牽引する強豪・桜花学園高校が常に立ちはだかり、高校時代の全国タイトル獲得は叶わなかった。

国内では激しいライバル関係にあった同学年の選手たちだったが、高校2年次には山本、篠原、渡嘉敷の3名が揃ってU-18日本代表に選出された。この世代の日本代表は、2008年に開催されたU-18アジア選手権において、並み居るアジアの強豪を打ち破り、見事に大会初優勝という歴史的な快挙を達成した。この経験は、その後の彼女たちのキャリアにとって大きな自信となった。

高校卒業後の2010年、山本は同期の篠原恵と共に、Wリーグの強豪チームである富士通レッドウェーブに入団した。プロキャリアの全てを富士通で過ごし、約10年間にわたりチームの主力選手の一人として、得点やリバウンド、ディフェンスなど、様々な面で貢献。安定したパフォーマンスを長年にわたり発揮し続けた。

日本代表としては、2014年に初めてA代表（フル代表）に選出された。同年トルコで開催されたFIBA女子バスケットボール世界選手権（現：FIBA女子バスケットボールワールドカップ）に日本代表の一員として出場し、世界の舞台でプレーする貴重な経験を積んだ。翌2015年には中国で開催されたFIBA女子アジア選手権（現：FIBA女子アジアカップ）にも出場し、国際大会でのキャリアを重ねた。

2020年、長きにわたるプロバスケットボール選手としてのキャリアに終止符を打ち、現役を引退した。アマチュア時代から第一線で活躍し、日本代表としても国際舞台を踏んだ彼女のキャリアは、日本の女子バスケットボール界において記憶される功績の一つである。

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