山桝忠恕

山桝 忠恕（やまます ただひろ）

山桝忠恕は、日本の会計学界に多大な影響を与えた学者です。1922年に愛知県名古屋市で生まれ、1984年に亡くなりました。彼の学術的キャリアは、名古屋市の愛知県立明倫中学校から始まり、彦根高等商業学校を経て1945年に神戸経済大学を卒業します。その後、平井泰太郎の指導を受け、学問の道を進むことになります。

1940年代後半からは、神戸大学で講師を務め、その後松山商科大学や神戸商科大学でも教鞭をとった後、1960年には慶應義塾大学の教授に就任しました。その際、彼は『監査制度の展開』を基に経済学博士の学位を取得しました。彼の学問的業績は、特に財務会計論において三邊金蔵や小高泰雄の後を継ぐ重要なものとされています。

山桝は学外でも多くの役職を務めており、大蔵省企業会計審議会委員や国税庁法人税法通達整備審議会委員などとしても存在感を示しました。また、1964年には日本会計研究学会賞・太田賞を受賞し、その業績が高く評価されました。

彼の著作は、会計学に関する重要な文献として今でも広く利用されています。彼が書いた主要著書には、『アメリカ財務会計』や『監査制度の展開』、さらには『近代会計理論』や『複式簿記通論』などがあり、これらは日本における会計学の土台を築くものとなりました。特に『監査制度の展開』は、監査に関する重要な理論的枠組みを提示しており、彼の研究の集大成とも言える作品です。

また、山桝は多くの共著や編著も手掛けており、戦後の会計学の発展を促進するためにさまざまな研究集会を企画しました。彼が関与した著作には『会計学の展開』や『講座現代会計』などがあり、これらの書籍は後進に多くの知識と技術を伝えました。

さらに、彼は追悼文集『山桝忠恕先生十三回忌追悼論文集』が1996年に発刊され、彼の功績や影響を再評価する機会となりました。彼の業績は、学問だけでなく実務面においても今なお生き続けており、日本の会計学の礎を築いた一人として歴史に名を刻んでいます。

山桝忠恕の生涯は、多くの学生や後進の研究者にとって模範となるものであり、彼の教えは日本の会計学の発展に欠かすことのできない存在です。彼の業績と著作は、今日の会計学のランドスケープを理解するためには欠かせないリソースとなっています。

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