山梨学院生涯学習センター

学校法人山梨学院によって運営されていた山梨学院生涯学習センター（英名：Yamanashi Gakuin Center of University Lifelong Learning Activities）は、地域に根ざした生涯学習を推進するための施設でした。1994年 4月に本格的な活動を開始し、2021年3月に廃止されるまでの約27年間、地域住民に対して山梨学院が持つ多様な教育資源を開放し、学習者の調査研究や自己啓発の機会を提供しました。その活動の目的は、地域社会の産業、福祉、教育、文化の発展に寄与するとともに、市民の学習活動とその支援のあり方について研究することにありました。

設立の背景と経緯

山梨学院大学および山梨学院短期大学は、センター設立以前から、学長の方針に基づき、地域コミュニティの文化向上と住民の学習活動の促進に貢献するため、一般市民を対象とした公開講座や講演会などを積極的に開催していました。これらの個別の取り組みをさらに発展させ、より体系的かつ組織的な事業として展開することを目指し、1992年 4月にまず「山梨学院生涯学習センター準備室」が設置されました。関係機関との調整を経て、1994年 4月には準備室の名称が外され、「山梨学院生涯学習センター」として正式に発足し、本格的な生涯学習事業がスタートしました。2003年には創設10周年を記念するフォーラムも開催されましたが、学内の教育・研究事業の見直しに伴い、2021年3月末をもってその歴史に幕を下ろしました。

組織構成

山梨学院生涯学習センターは、「生涯学習部」と「地域福祉サービス研究部」の二つの主要な組織から構成されていました。

生涯学習部: センター全体の活動を総括するセンター長の下、事業計画の策定や運営を審議する運営委員会、目的達成のための研究活動を行う生涯学習センター研究員会議、そして日常的な事務を担う事務局が置かれていました。
地域福祉サービス研究部（愛称：シリウス）: こちらは、山梨県内の認可保育所を対象とした福祉サービス第三者評価を行う機関としての役割を担っていました。

特徴的な講座活動

当センターが提供する講座は、山梨県の地域性に深く根差した内容が中心でした。数年にわたって継続的に開かれる講座と、時事的な話題を取り上げる単発講座があり、年間を通じて多様な学習機会が提供されました。特に注目すべきは「やまなし学研究」と呼ばれる講座です。この講座では、山梨の歴史、文化、産業、自然など、多角的な視点から山梨を深く分析・検討し、現状の課題や将来の可能性を再認識することを目的としていました。この講座は一般市民だけでなく、山梨学院大学の学生も正規の「総合基礎教科科目」として単位を取得しながら受講することが可能であり、異なる世代や背景を持つ人々が共に学び、交流する貴重な場となっていました。これまでに開催された講座には、「山梨の将来」「甲斐の国人物伝」「山梨のエコロジーとエコノミー」「山梨の農と食」といった地域色豊かなテーマのほか、「山梨のワイン」「山の博覧会（山梨の山岳）」、大学所在地である甲府市酒折に伝わる日本武尊伝承にまつわる「酒折連歌講座」など、地域住民との連携や協力を通じたユニークな企画も数多く実施されました。

その他の活動

センターは、大学キャンパス内に設置されていたコミュニティFM局であるエフエム甲府とも連携し、「生涯学習の時間」と題した番組を制作・放送していました。これにより、より広い範囲へ学習情報やセンターの活動を発信する努力がなされました。センターの活動姿勢は、「地域に、地域とともに、そして地球社会へ」というキャッチフレーズにも表現されており、地域社会との密接な関わりを重視する姿勢が示されていました。

2021年3月に廃止されるまで、山梨学院生涯学習センターは地域における知の拠点として、多くの人々の学びと地域社会の発展に貢献しました。

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