山梨県庁舎別館 (旧本館) 及び県議会議事堂

山梨県庁別館と県議会議事堂

山梨県庁別館（やまなしけんちょうべっかん）は、山梨県甲府市丸の内に位置する重要な歴史的建築物です。この別館は、以前の本庁舎であり、現在は山梨県議会議事堂（やまなしけんぎかいぎじどう）の機能も兼ね備えています。別館と議事堂は、甲府市丸の内にある県庁敷地内で、1930年に竣工され、ほぼ同じ工法や素材で設計されています。これらの建物は2009年に山梨県の有形文化財に指定され、貴重な文化遺産として保存されています。

建築様式と特徴

山梨県庁別館と県議会議事堂は、共に佐野利器の設計で、建物の特徴は「山」の字を象ったフォルムが印象的です。庁舎別館は南を正面としており、一方の議事堂は西向きです。両者は渡り廊下で繋がっています。

外壁は、腰部に塩山産の花崗岩または擬石塗が施され、上部には愛知県産のタイルが張られています。軒周りには濃緑色の陶瓦の庇が見られ、玄関ポーチにも塩山産の花崗岩が使用されています。入ってすぐの床は楢板張りと大理石張りで、後者の大理石は山梨県内の道志産です。屋根はアスファルト防水の陸屋根で、議事堂の議場は一部陶瓦葺きです。室内では、漆喰塗りの内壁やコルク吹き付けなどが施されています。

この建物の建築様式は「東洋味を加えた近世式」とされており、左右対称の外観や重厚な形式美が特徴的です。これらの特徴により、当時の最新技術が駆使されて建てられたことがわかります。

歴史的変遷

山梨県庁別館と議事堂は、もともと1874年に建設された初代県庁舎に起源を持つものの、歳月が経過するにつれ、その老朽化と県庁の拡張に伴い新たな建物が必要とされるようになりました。1927年に新庁舎と議事堂の建設が決定し、1930年3月31日に竣工しました。開所式には約1,500名が参列し、その後展示会として県政展覧会が開催されたこともあります。

戦後、この庁舎はさまざまな行事やイベントの場としても活用され、1957年には議場改装工事も行われました。2009年には両建物ともに文化財として位置づけられ、その重要性が確保されました。そして、2013年から2015年にかけて耐震改修工事が行われ、山梨近代人物館が設立されるなど、新たな歴史を刻んでいます。

山梨近代人物館の設立

山梨近代人物館は、山梨県庁別館の中で山梨ゆかりの人物の偉業に焦点を当てた展示施設です。2015年にオープンし、明治時代から戦前にかけての活動を行った先人たちの功績を紹介しています。特に子供向けのコーナーも設けられ、クイズ形式で学べる「ふるさと人物伝」は人気の展示です。

館内の展示室では、地域の歴史や文化を知る場として多くの来館者が訪れ、特に小中学生や観光客にも好評です。さらに、旧知事室や旧正庁の再現も行われ、訪れる人々に県の歴史を肌で感じてもらえるよう工夫がなされています。

文化財としての役割

山梨県庁別館と県議会議事堂は、今もなお県民に親しまれ、地域の文化や歴史を示す大切な場所です。その美しい外観や、歴史的意義、そして地域教育に対する貢献が高く評価されています。これからも山梨の歴史を語り継ぎ、後世へと引き継いでいくべき貴重な資源として位置づけられています。

もう一度検索