山津見神社

山津見神社の概要

山津見神社（やまつみじんじゃ）は、福島県相馬郡飯舘村に位置する神社であり、虎捕山津見神社とも呼ばれています。この神社は、地域の信仰の中心として栄え、多くの人々に親しまれています。神社に祀られている主祭神は大山津見神であり、山の神として知られています。

由緒と歴史

神社の由緒は非常に興味深いです。文献によると、後一条天皇の時代に橘墨虎（たちばな の すみとら）という凶賊が真野の里で生まれ育ちました。墨虎は非常に大柄で、不思議な力を持つ男であり、彼は常に部下を引き連れて村落を襲い、住民から財物を奪っていました。村人たちは、彼が村を通ると恐れおののき、逃げ惑っていました。

墨虎は霊山に物見台を設けてその周辺を支配する中で、周辺の豪族たちも彼に服従し、朝廷の命令を無視する事態が生じました。この状況を受けて、永承6年（1051年）に源頼義が陸奥守・鎮守府将軍として下向し、掛田に陣を構えた際、村人たちは墨虎に対抗するよう嘆願しました。

頼義は墨虎の討伐を命じますが、墨虎は霊山を利用して逃げ延びます。彼は再び霊山に現れ、住民たちを脅かし続けました。そんな中、頼義の夢に山の神が現れ、墨虎を捕まえたいなら白狼の足跡を追うようにという神託を授けます。この助言がきっかけとなり、頼義は臣下に墨虎の追跡を命じました。

藤原景道は地元の案内役と共に山へと向かい、墨虎の足跡を追い求める中で、彼の隠れ家となる岩に辿り着きます。彼は墨虎に対して神の名を叫び、短刀を投げつけて見事に墨虎を討伐しました。この出来事により、地域の人々は安堵し、頼義はこの勝利を神に感謝するため、「虎捕山神」の名で祠を構えました。

その後、この山は「虎捕山」と名づけられ、神社が位置する佐須の地名も墨虎に由来するものと言われています。神社は農業や交通安全、海上安全、良縁など、さまざまな神徳を持っています。

境内の特徴

山津見神社の境内には社務所があり、眷属として狼や白狼の石像があるほか、日本武尊の像も存在します。社殿には神明造の本殿があり、拝殿から約650メートルの場所に奥宮本殿が鎮座しています。2013年には火災が発生し社殿が焼失しましたが、奥宮本殿は無事でした。その後、拝殿は2015年に再建され、東京芸術大学の学生たちによるオオカミの天井絵が復元されました。

境内の拝殿の天井には231枚の絵があり、地元の信仰を受け継ぐ狼や白狼が描かれています。このように、山津見神社は歴史的な背景を有し、地域の文化と信仰が融合した重要な場所となっています。

登山や訪問の際には、山津見神社の神秘的な雰囲気を感じながら、地域の神々への感謝を捧げることができるでしょう。

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