山田季治

山田季治の生涯

山田季治（やまだ すえはる/すえじ）は、1848年11月7日に現在の鳥取県に生まれました。彼は嘉永元年という時代背景の中で育ち、父親は中津藩の武士で、福沢諭吉の妻の実父にあたる土岐鍋吉でした。季治は幼少期に松口儀助の養子として育てられましたが、父が突然失踪したため松口家と別れ、土岐家に引き取られました。その後、鳥取藩の御蔵番である山田忠右衛門の養子となり、名を季治と改名しました。

20歳で鳥取藩御蔵番に就任した彼は、明治維新後に上京し、慶應義塾に入学します。ここでの学びが彼に大きな影響を与えました。卒業後、明治6年（1873年）には潮津小学校、現青谷小学校の初代校長に就任し、さらには愛知県立中学校の舎長となるなど、教育分野で活躍しました。

明治20年（1887年）には日本郵船に入社し、北海道支店長として働きました。彼の活動は、幕末からの不平等条約改正に対する国民の強い期待感に影響され、国際的なコミュニケーションの必要性を強く感じていました。この時期、日本の情報を海外に発信するための英字新聞の必要性が高まっており、山田はこの構想を実現させるべく動き始めました。

彼は日本初の英字新聞『ジャパンタイムズ』創刊を決意し、資金を集めることに取り組みました。伊藤博文の同意のもと、日本郵船や横浜正金銀行からの資金調達を行い、福沢諭吉からは『時事新報社』の印刷機械を4,500円で購入します。この代金は後に貸金とすることが決まりました。

1888年3月22日、ついに『ジャパンタイムズ』が創刊され、山田は初代社長に就任しました。社屋は麴町区内幸町に設けられ、彼は当時の有能な記者を集めて明治時代のジャーナリズムを牽引しました。特に、小村寿太郎などもこの新聞に寄稿し、彼の名は広く知られることとなります。

山田季治は、日本の教育界とメディア界においてその影響力を発揮し、明治期における初期のジャーナリズムを発展させた重要な人物として記憶されるでしょう。彼の努力は、当時の日本が国際社会に対して誇りを持って情報を発信できる基盤を築くことに貢献しました。時に苦難が伴いながらも、彼の情熱と信念は日本の近代史に刻まれるものとなりました。

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