山田徳兵衛 (吉徳第10代当主)

山田徳兵衛について

山田徳兵衛（やまだ とくべえ）は、1896年5月14日に東京で生まれた実業家であり、人形問屋「吉徳」の第10代当主でもある。彼は人形研究家としても知られ、多くの著作を残している。彼の人生は、戦前から戦後にかけて日本の人形文化を支える重要な役割を果たした。

経歴の概要

山田は出生名を庫吉といい、中央商業学校で学びました。1923年の関東大震災で店舗を失った吉徳の再建に際し、人形専門店へと業態転換を進めました。その後彼は、東京独自の雛人形の形態を作り上げ、セット販売を行うことで業績を伸ばしました。特に1940年代には、雛人形の販売や人形の造形において、他に類を見ない取り組みを行っています。

1927年、アメリカに贈る「答礼人形」の制作に深く関わり、58体の日本人形を企画・製作しました。このことは、彼の国際的な視野を示す一例となっています。また、1930年には人形芸術運動に取り組むため、仲間とともに童宝美術院を設立し、日本人形研究会の初代会長に就任しました。

戦時中の活動

1938年には、日独伊防共協定の成立を記念し、アドルフ・ヒトラーやベニート・ムッソリーニへの贈呈を企画した「やまと人形」の制作に参加。また、戦前及び戦後にかけて日本人形業界の代名詞ともいえる存在となりました。彼は日本人形研究会、日本玩具・人形連盟、日本人形協会、日本ひな人形協会など複数の団体の役職を歴任し、後の世代への影響を与えました。

著作活動と文化への貢献

山田は多くの著作を残しており、その内容は日本人形の歴史や制作技術、さらには人形芸術全般にわたるものです。代表的な著書には『羽子板』や『日本人形史』、『人形芸術』などがあり、これらは日本の伝統文化を深く掘り下げています。特に1942年に出版された『日本人形史』は、歴史的な資料として高く評価されています。

私生活と趣味

1982年には日本経済新聞に「私の履歴書」が連載され、彼の経歴と考え方が多くの人に知られることとなりました。俳句を嗜み、「土偶」との号名を持っていた彼は、色紙に「一生童心」と揮毫するなど、芸術的な感性も豊かでした。

人形文化を未来へ

山田徳兵衛は1983年12月21日に亡くなるまで、長い間日本の人形文化を牽引しました。その足跡は、今もなお多くの人に影響を与えています。彼の業績は、日本文化の一部として語り継がれ、次世代の人形師や研究者たちに受け継がれていくことでしょう。人形を通して、人々がどのように感動し、結びついていくのか、彼の思想は今も生きています。

もう一度検索