山田純三郎

山田 純三郎（やまだ じゅんざぶろう）は、1876年（明治9年）5月18日に生まれ、1960年（昭和35年）2月18日に没した、日本の革命運動家であり、中国大陸で活動した大陸浪人です。彼は、中国の革命活動に身を投じた兄の山田良政の弟にあたります。

山田純三郎は、青森県弘前で誕生しました。伯父である菊池九郎が設立した東奥義塾で学んだ後、室蘭炭礦汽船に勤務し、その後上京して青森リンゴの販売業を営みました。やがて中国大陸に関心を抱き、東亜同文会の清国派遣留学生選考に合格して上海へ渡ります。さらに、南京同文書院（後の東亜同文書院）に入学し、中国に関する見識を深めました。この南京同文書院在学中に、兄・良政を通じて孫文と初めて顔を合わせています。卒業後は同院の教員を務めたほか、日露戦争では通訳として日本軍に従軍し、戦後には南満州鉄道に入社するなど、様々な経歴を重ねました。

山田純三郎の生涯を決定づけたのは、兄・良政の志を継ぎ、孫文とその革命活動を支援し続けたことです。辛亥革命前後の混乱期、山田は陰に陽に孫文を助けました。特に、第一次世界大戦中に日本の第二次大隈重信内閣が中華民国政府に提出した対華二十一カ条要求などを巡り、日本政府と袁世凱政権との関係が悪化し、孫文が日本に対して不信感を抱きがちな状況下にあっても、山田は孫文から変わらぬ厚い信頼を得ていました。孫文が再び政権を握った場合、日本軍がこれに協力することを約した日中盟約を、海軍軍務局長の秋山真之が作成した際には、山田がその仲介役を務めたとされています。しかし、この盟約は日本政府の袁世介政権支持という公式方針に反したため、秋山は左遷されることとなりました。

袁世凱の死後、段祺瑞政権が成立してからも、山田は孫文との緊密な関係を保ち、信頼され続けました。その活発な活動は、常に日本の当局によって監視されていたと言われています。

1925年（大正14年）、孫文が北京で病没した際、山田純三郎は彼の最期に立ち会った数少ない日本人の一人となりました（同じく立ち会った日本人として萱野長知などがいます）。孫文の死後も、山田は中国大陸、特に上海を拠点に活動を続け、第二次世界大戦が終結し、日本が敗戦を迎える1945年（昭和20年）まで上海で過ごしました。

山田純三郎は、単なる大陸浪人という枠に収まらない、日中関係史における重要な時期、特に孫文の革命を日本側から支えた稀有な存在でした。兄・良政と共に、中国の近代化という大きなうねりの中で、日本人として独自の役割を果たした人物と言えるでしょう。

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