岐阜県立国際園芸アカデミー

岐阜県立国際園芸アカデミー（ぎふけんりつこくさいえんげいアカデミー）は、岐阜県が設置・運営する専修学校です。岐阜県可児市に校舎を構え、2004年（平成16年）に開校しました。このアカデミーは、花と緑に関する専門的な知識、技術、そして高度な実践力を兼ね備えた人材の育成を使命としています。

教育の中心は、園芸分野に留まらず、緑化、花卉（かき）、造園といった幅広い領域を網羅しています。単に知識を学ぶだけでなく、実際の現場で通用する技術の習得に重点を置いており、そのための実習環境が充実しています。学校の敷地内で様々な植物の栽培や管理、造園技術などを学ぶ機会が提供されるほか、県内有数の規模を誇る「花フェスタ記念公園」など、広大な敷地や多様な環境を持つ外部施設でも実践的な学びが行われています。これにより、学生はより現実に近い状況での対応力や応用力を養うことができます。

現在、本校の主要な教育課程は「マイスター科」です。この学科は、将来的に園芸分野で活躍できる、優れた専門技術と知識を持った人材の育成を目指しています。入学資格は、高等学校を卒業した者、またはこれと同等以上の学力があると認められる者とされており、専門的な学びを深めるための基礎学力を有していることが前提となります。修業年限は2年間で、集中的に専門技術を習得するためのカリキュラムが組まれています。

マイスター科には、学生の興味や将来のキャリアパスに応じた三つの専攻コースが設けられています。一つ目の「生産コース」では、市場のニーズに応える花や緑を効率的に生産するための栽培技術、病害虫管理、品質管理といった生産全般に関する知識と技術、およびその管理手法を深く学びます。二つ目の「装飾コース」は、フラワーアレンジメント、ディスプレイ、イベント装飾など、花や緑を用いて空間を美しく演出し、人々に感動を与えるためのデザイン技術や、その維持管理手法に特化しています。三つ目の「造園緑化コース」では、個人庭園から公共空間に至るまで、様々なスケールの緑地空間をデザインし、実際に造り上げるための造園計画、設計、施工、そして維持管理に関する技術と知識を体系的に学びます。

過去には、より高度で創造的な分野を探求する「上級マイスター科」も設置されていました。この学科は、花と緑のデザインを通じて社会に対して新たな価値や提案ができる人材の養成を目的としていましたが、残念ながら平成24年度をもって廃止されています。上級マイスター科は、入学資格が短期大学卒業以上またはこれと同等とされ、標準的な修業年限は4年間（前期課程2年、後期課程2年）と、より長期にわたる専門教育が提供されていました。前期課程のみ、あるいは後期課程のみを履修することも可能でした。この学科にも、生産、装飾、環境といった多様な専攻コースが存在し、より広範な視野と高度な専門性を持つ人材の育成を目指していました。

専門課程に加え、地域社会への貢献や生涯学習の機会提供にも力を入れています。一般の方々を対象とした生涯学習部門では、園芸の基礎から専門的な内容まで、幅広いテーマの講座が開講されており、多くの人々に花と緑に親しむ機会を提供しています。

岐阜県立国際園芸アカデミーは、未来の園芸界、緑化・造園分野を担う実践的な技術者を育成する、地域に根差した専門教育機関です。所在地は岐阜県可児市塩1094-8で、名古屋鉄道広見線の可児川駅からは徒歩約30分でアクセス可能です。

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