岐阜県立大垣農業高等学校

岐阜県立大垣農業高等学校は、かつて岐阜県養老郡養老町に位置していた公立の高等学校です。主に農業分野の専門教育を提供し、80年以上の歴史を持ちましたが、2005年にその役割を終えました。この閉校は、岐阜県立養老女子商業高等学校との統合により、新たに岐阜県立大垣養老高等学校が設立されたことによるものです。

創立と初期

本校の起源は、大正時代に遡ります。1921年3月10日、岐阜県安八郡立農学校として設立が認可され、同年4月15日に開校しました。開校当初は、大垣市内の旧蚕業取締所や安井尋常小学校を仮校舎として使用していましたが、翌1922年6月15日には大垣市禾森町に専用の校舎を新築し移転しました。その後、1923年3月には校舎の増築が行われ、同年4月1日には岐阜県に移管され、岐阜県安八農学校と改称されました。

戦後の変遷と学科拡充

第二次世界大戦後の学制改革により、学校の形態は大きく変わりました。1948年4月1日に岐阜県立大垣農業高等学校となりますが、同年8月1日には岐阜県立大垣商業高等学校と統合し、岐阜県立大垣実業高等学校の一部となりました。さらに、1949年4月1日には再び改編が行われ、大垣南高等学校の農業科として位置づけられることになります。しかし、1957年4月1日には大垣南高等学校から再び独立し、岐阜県立大垣農業高等学校として再出発しました。この頃、夜間定時制の農業科（1951年設置）や女子農業科（1960年設置）など、教育内容の拡充も図られました。1961年5月23日には新たな校舎が完成し、1962年4月1日には農芸化学科が設置されるなど、専門性の強化が進められました。1963年には女子農学科が生活科に改称されるなど、時代に合わせた学科名の変更も行われています。1968年3月には農業経営科、園芸科、畜産科が設置され、同時に定時制農業科の募集が停止されました。

養老町への移転

学校の歴史において大きな節目となったのが、大垣市から養老町への移転です。1970年3月に移転が決定し、1971年には養老町祖父江に新校舎の建設が始まりました。同年3月には本館の一部（東半分）が完成し、長年存在した定時制農業科はこの年に廃止されました。同年6月7日にはすべての施設が移転を完了しました。新しい環境での教育体制が整い、1972年2月には本館の残りの部分（西半分）が、1973年2月には屋内体育館が完成しました。移転の完了を祝うとともに、創立から50周年を迎えたことを記念する式典が1973年11月に盛大に行われました。

後期学科再編と閉校へ

移転後も、社会や農業の変化に対応するため、学科の再編が積極的に行われました。1985年には園芸科内に園芸コース、環境緑地コースが設けられ、翌1986年には環境緑地科が新設されました。1990年代に入ると、従来の学科体制が見直され、農業経営科、畜産科、生活科の募集が1995年に停止されました。代わりに、同年に食品流通科、動物科学科といった新しい学科が設置されました。さらに1997年には、園芸科、農芸化学科の募集が停止され、園芸科学科、食品科学科が新設されるなど、専門分野の細分化と現代化が進みました。しかし、閉校に向けて段階的に学科の整理が進み、2002年には食品流通科の募集も停止されました。最終的に、2005年2月には園芸科学科、動物科学科、環境緑地科の募集も停止されました。

統合・閉校、そして校舎の現在

そして2005年4月1日、岐阜県立大垣農業高等学校は84年の歴史に幕を閉じました。これは、岐阜県立養老女子商業高等学校との統合による新高校、岐阜県立大垣養老高等学校の設立に伴うものです。閉校後、旧大垣農業高等学校の校舎は岐阜県立大垣養老高等学校の大垣校舎として引き継がれ、旧養老女子商業高等学校の校舎は養老校舎となりました。その後、教育環境の集約が進められ、2007年には養老校舎が廃止され、旧大垣農業高等学校の校舎が岐阜県立大垣養老高等学校の唯一の校舎として現在に至っています。

岐阜県立大垣農業高等学校は、安八郡立農学校として誕生して以来、時代の変遷や学制改革、社会のニーズの変化に合わせて、その名称や所在地、教育内容を柔軟に変えながら、岐阜県西濃地域における農業教育の中心的な役割を担ってきました。多くの卒業生を社会に送り出し、地域農業の発展に貢献したその功績は、今も語り継がれています。

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