岐阜県立岐阜聾学校

岐阜県立岐阜聾学校の概要

岐阜県立岐阜聾学校（ぎふけんりつ ぎふろうがっこう）は、岐阜県岐阜市加納西丸町に校舎を構える公立の特別支援学校です。主に聴覚に障害のある児童生徒を受け入れており、就学前から社会に出るまでを見据えた多様な教育課程を展開しています。

歴史と沿革

学校の歴史は古く、1931年（昭和6年）に「岐阜県聾唖学校」として第一歩を踏み出しました。設立当初から、聴覚障害教育の拠点としての役割を担ってきました。昭和12年には5年制の中学部が新たに設けられ、当時の社会状況を反映して工芸科や裁縫科といった職業教育に繋がる学科が設置されました。この年、世界的に著名なヘレン・ケラー氏が学校を訪れ、生徒たちに希望を与えたことは特筆すべき出来事です。

太平洋戦争後の1948年（昭和23年）には、高等部に木材工芸科と被服科が設けられ、専門的な技術教育が拡充されました。そして1950年（昭和25年）には、現在の名称である「岐阜県立岐阜聾学校」へと改称されています。その後も教育内容は拡充され、1954年（昭和29年）には理容科と、高等部卒業後の進路を支援する専攻科が開設されました。また、1956年（昭和31年）には幼稚部が設けられ、より早期からの教育支援が可能となりました。

学校にとって大きな栄誉となったのは、1965年（昭和40年）に天皇皇后両陛下（当時）が行幸啓されたことです。これは学校の教育活動が認められた証であり、関係者にとって忘れられない出来事となりました。学科の改編も時代に合わせて行われ、1971年（昭和46年）には高等部の木材工芸科が産業工芸科と名称を変えました。平成に入ると、1996年（平成8年）に高等部に普通科と産業情報科が設置され、多様な学習ニーズに対応する体制が整えられました。さらに1999年（平成11年）には、専攻科に教養科、情報処理科、産業デザイン科、理容科の4学科が設置され、専門性の高い学びの機会が拡充されました。

近年の動きとしては、2006年（平成18年）に学科の再編が行われました。この改編により、高等部の産業情報科は募集を停止し、普通科へ統合されました。また、専攻科の教養科と産業デザイン科も募集を停止し、時代の変化に応じた教育体制へと移行しています。

教育課程と学科

岐阜聾学校では、聴覚障害のある子どもたちの発達段階に応じた一貫した教育を提供しています。学校には、最も幼い子どもたちが通う幼稚部をはじめ、小学部、中学部、そして高等部が設置されています。高等部には現在、多様な進路に対応する普通科が設けられています。過去には産業情報科も存在しましたが、現在は募集を停止しています。

高等部を卒業した方を対象とした専攻科も設置されており、2年間の課程でより専門的な知識や技術を深めることができます。専攻科には現在、情報処理科と理容科が設置されています。かつては教養科や産業デザイン科も設けられていましたが、これらの学科は現在募集を停止しています。

学校生活とアクセス

日々の学習活動に加えて、生徒たちの健全な心身の発達を促すため、様々な部活動も活発に行われています。運動部としては、陸上部、バレーボール部、卓球部があり、文化部も活動しています。また、地域の伝統文化に触れる機会として、太鼓同好会も活動しています。

学校へのアクセスは比較的便利です。JR岐阜駅南口からは徒歩でおよそ20分程度です。公共交通機関を利用する場合は、岐阜バスの「加納附属小学校前」バス停で下車すると、学校までは歩いて約3分ほどの距離です。

岐阜県立岐阜聾学校は、長年にわたり聴覚障害教育の中心的な役割を担い、多くの卒業生を社会に送り出してきました。歴史の中で幾度かの改編を経て、今日に至るまで、子どもたちの可能性を最大限に引き出すための教育に取り組んでいます。

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