岐阜県立高山高等学校

岐阜県立高山高等学校は、岐阜県高山市にかつて存在した公立高等学校です。その歴史は、大正時代に設立された旧制高等女学校を源流としており、戦後の学制改革を経て新制高等学校へと移行しました。最終的には2005年、岐阜県立斐田農林高等学校と合併し、岐阜県立飛騨高山高等学校として新たな歩みを始めました。旧高山高等学校の校舎および校地は、現在も飛騨高山高等学校の岡本校舎（岡本キャンパス）として利用されています。

沿革

本校の歴史は、1917年（大正6年）5月10日に高山町立実科高等女学校として名田町の地で開校したことに始まります。その後、1920年（大正9年）4月13日に高山高等女学校と改称され、1926年（大正15年）7月18日には花里に新築された校舎へ移転しました。1927年（昭和2年）4月1日には県への移管が実現し、県立学校となりました。

第二次世界大戦後の学制改革に伴い、1948年（昭和23年）4月1日には岐阜県高山女子高等学校となり、定時制課程も設置されました。この高山女子高等学校には、本校のほか、上枝（ほずえ）分校、高山分校、朝日分校が置かれていました。同年8月18日には、小学区制導入という方針のもと、岐阜県高山女子高等学校と岐阜県斐太農林高等学校を統合する指令が出されました。

1948年（昭和23年）9月1日、両校の統合により岐阜県高山高等学校が開設されました。当初は通常課程（普通科、農業科、林業科、畜産科）と定時制課程（農業科、被服科）を併設し、上枝分校にも定時制課程が設置されました。同月28日には、正式名称を岐阜県立高山高等学校に変更しています。翌1949年（昭和24年）4月1日には学区制が実施されるとともに、高山分校および朝日分校にもそれぞれ定時制課程が設置されました。しかし、高山分校は1951年（昭和26年）4月1日に廃止され、本校に定時制課程の被服科別科が設けられました。また、上枝分校と朝日分校の農業科および被服科は、1953年（昭和28年）4月1日に普通科へと転換されました。

1957年（昭和32年）4月1日には、高山地区における高等学校の再配置が実施され、岐阜県立高山高等学校は再出発しました。この再配置により、従来の農業科、林業科、畜産科は新設された岐阜県立斐太実業高等学校へ分離されました。同時に、朝日分校と、名称を「高山分校」と改めた上枝分校も斐太実業高等学校へ移管されました。また、岐阜県立斐太高等学校の夜間部普通科・商業科が本校へ移管されました。

再配置後の高山高等学校は、通常課程に普通科、商業科、家庭科を、定時制課程に普通科、商業科、被服科、被服別科を設置しましたが、被服科と被服別科の募集は停止されました。1960年（昭和35年）4月1日には、通常課程の普通科が「普通科（女子）」に変更されました。1963年（昭和38年）4月1日には家庭科が家政科に改称され、1966年（昭和41年）4月1日には全日制課程に衛生看護科が新設されるなど、学科の改編が進みました。1970年（昭和45年）4月1日には商業科が経営科と事務科に改編され、定時制商業科は1976年（昭和51年）4月1日に募集を停止しました。1984年（昭和59年）4月1日には校訓「向学、友愛、礼儀」が制定されています。さらに、1994年（平成6年）4月1日には事務科が情報処理科と情報ビジネス科に再編されました。

2002年（平成14年）4月1日には衛生看護科の募集を停止し、新たに健康福祉科を設置しました。そして、2005年（平成17年）3月31日をもって岐阜県立高山高等学校はその歴史に幕を閉じました。翌4月1日、岐阜県立高山高等学校（全日制・定時制）、岐阜県立斐田農林高等学校（全日制）を統合し、新たに岐阜県立飛騨高山高等学校が開設されました。この統合に伴い、旧高山高等学校に設置されていた経営科・情報ビジネス科は募集停止となり、ビジネス科が新設されました。また、家政科は生活文化科に改編されています。

備考と著名な出身者

本校の校舎は、2002年に放送されたNHKの連続テレビ小説「さくら」において、作中に登場する「あけぼの中学校」のロケ地として使用されました。

著名な出身者には、小説家の江夏美好（旧制高山高等女学校中退）、飛行士の上仲鈴子（旧制高山高等女学校卒業）、ノーベル化学賞受賞者である白川英樹（第7回卒業生）、および岐阜県大野郡白川村長の成原茂などがいます。

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