岡本利之

岡本 利之（おかもと としゆき）

岡本利之は、1916年11月27日に鳥取県米子市で生まれたプロ野球選手および高校野球・社会人野球監督として広く知られています。彼は右投右打で、主に捕手、内野手、そして投手として活躍しました。父である岡本速水は米子中学校の野球部長として、「野球の父」と呼ばれる存在であり、岡本の初期の影響を与えた人物です。

来歴・人物

岡本は米子中学校に進学し、4年次の1932年には夏の甲子園に二塁手として出場しましたが、チームは初戦で石川師範に敗れました。続く1933年には主将としてチームを率いましたが、山陰大会で敗れたため甲子園出場は果たせませんでした。

卒業後は関西大学に進学し、野球部で優れた内野手として知られるようになりました。その後、1939年に職業野球のライオン軍に入団。一年目はユーティリティープレイヤーとして活躍し、捕手をはじめ多様なポジションをこなしましたが、すぐに戦争に召集されました。

戦後は米子中で後輩たちの指導に努めつつ、1947年には境中学校の監督に就任。その後、3年間で2度の夏の甲子園地区予選決勝進出を果たし、同校の基礎を作りました。1950年には母校の米子東高校の監督に就任し、夏の甲子園でチームをベスト8に導きました。

その後、米子鉄道管理局に勤務し、野球部の監督としても活躍しました。1958年には再び米子東高校監督として復帰し、1960年には選抜に出場。惜しくも決勝にて敗れましたが、準優勝という成績を収めました。この年の夏と1961年の選抜でも好成績を残し、特に1965年と1966年の選抜でも出場し、1966年には高知に勝利し、ベスト8に進出しました。

しかし、1968年夏の大会をもって監督を退くことになり、1969年には胃の不調を訴え入院。その後、彼は53歳でこの世を去りました。生前は「もう一度米子東のプレーを見たい」という思いを抱いていました。

指導者としての方針

岡本はグラウンド内では厳格な指導を行い、選手には徹底した鍛錬を求めました。特にノック時は選手たちに厳しい指導を行い、その様子は「スパルタ式」と評されました。しかし、彼はグラウンド外では選手とのコミュニケーションを重視し、時には選手をすき焼きに誘うなど、選手との関係を大切にしていました。

試合では、審判の判定には潔く従うことを信条としていましたが、1968年の夏の大会での判定に関しては、抗議を行ったことがチームに影響を与えました。彼は生涯を通じて「一球の判定が選手の一生を左右する」と述べており、その考え方は常に選手に伝えられていました。

まとめ

岡本利之は、彼の厳しい指導と選手への深い愛情で知られ、米子東高校野球部の歴史に名を刻んだ指導者です。彼の遺した教えと理念は、今もなお多くの選手たちに受け継がれています。

もう一度検索