岡田浩之

岡田 浩之（おかだ ひろゆき）は、1960年7月11日生まれの日本の認知科学者です。東京都出身。現在、東京情報デザイン専門職大学情報デザイン学部教授を務めています。彼の専門分野は認知発達ロボティクスであり、東京農工大学大学院で博士（工学）の学位を取得しました。

岡田教授の研究は、赤ちゃんの成長プロセスで観察される認知発達のメカニズムと、ロボット工学の知見を融合させる点に大きな特徴があります。人間の発達段階、特に乳幼児期に見られる学習や認知の様式をロボットに実装することで、より知的で柔軟な自律ロボットの実現を目指しています。このアプローチは、ロボットが人間社会の中でより自然に相互作用するための基礎技術の開発に貢献しています。

そのキャリアは多岐にわたります。株式会社富士通研究所での研究員として始まり、中京大学人工知能高等研究所や東海大学理学部での経験を積みました。特に玉川大学では、脳科学研究所や工学部の複数の学科（知能情報システム学科、機械情報システム学科、情報通信工学科）、学術研究所先端知能・ロボット研究センターなどで長年にわたり教授として後進の指導と研究推進にあたりました。2024年からは東京情報デザイン専門職大学に移り、新たな環境で研究・教育活動を続けています。

岡田教授の最も著名な業績の一つに、彼が率いるロボットチーム「eR@sers（イレイサーズ）」があります。このチームは、家庭環境における自律移動ロボットの技術を競う国際的なロボット競技大会、RoboCupの@Homeリーグに参戦しました。電気通信大学や岡山県立大学、NICTの研究者らとの共同研究から生まれたロボット「eR@ser」は、2008年の世界大会（中国・蘇州）および2010年の世界大会（シンガポール）において、二度にわたる優勝という快挙を成し遂げました。また、ロボカップジャパンオープンでも複数回優勝しています。

学術界およびロボット分野における社会的活動も精力的に行っています。特定非営利活動法人ロボカップ日本委員会の会長を務めるほか、国際的なRoboCup FederationのTrusteeとしても活動しています。また、経済産業省およびNEDOが主催したWorld Robot Summit 2020では実行委員およびサービス分野競技委員長を務めるなど、日本のロボット技術振興に大きく貢献しています。日本ロボット学会、日本認知科学会においてはフェローの称号を持ち、それぞれの学会や日本赤ちゃん学会、人工知能学会でも常任運営委員や評議員などの要職を歴任しています。

これらの活動を通じて、岡田教授は数多くの栄誉を受けています。特にRoboCup関連の受賞が多く、@Homeリーグでの優勝・準優勝に加え、イノベーションアワードや研究賞、@Home Educationでの優勝などがあります。さらに、RTミドルウェア普及貢献賞や日本機械学会ロボティクスメカトロニクス部門のベストポスター賞なども受賞しており、その研究と社会貢献が高く評価されています。

もう一度検索