岡部篤行

岡部篤行：日本の地理情報科学をリードした都市工学者

岡部篤行氏は、1945年、佐賀県に生まれました。東京大学工学部を卒業後、同大学大学院工学研究科博士課程を修了し、博士号を取得。「都市規模分布に関する一連の研究」は、氏の初期の重要な業績の一つと言えるでしょう。その後、ペンシルベニア大学大学院博士課程も修了し、Ph.D.を取得するなど、国際的な研究活動にも積極的に取り組んできました。

筑波大学、東京大学とキャリアを重ね、東京大学工学部都市工学科教授として長年教鞭を執りました。1998年から2005年にかけては、東京大学空間情報科学研究センター長も兼任し、研究機関の運営にも携わっています。2011年に東京大学を定年退職後は、青山学院大学に教授として迎えられ、後進の育成にも尽力しました。

岡部氏の専門は、空間分析と地理情報科学です。数理モデルを用いた都市構造の分析や、[地理情報システム]の開発・応用に関する研究で高く評価されています。特に、ボロノイ図を用いた空間パターン解析に関する研究は、国際的にも高く評価されており、地理情報科学分野における先駆的な貢献として知られています。

その研究成果は、数多くの論文や著書に結実しています。単著として『空間情報科学の挑戦』は、空間情報科学の基礎から応用までを分かりやすく解説した入門書として広く読まれています。また、共著として『最適配置の数理』、『GISソースブック データ・ソフトウェア・応用事例』、『GISで空間分析 ソフトウェア活用術』など、GIS関連の重要な書籍を多数執筆し、日本のGIS普及にも貢献しました。さらに、海外の重要な書籍の翻訳にも携わるなど、日本の地理情報科学研究の発展に多大な貢献をしました。

国際的な共同研究にも積極的に参加し、Barry Boots、杉原厚吉、Sung Nok Chiu氏らとの共著“Spatial Tessellations: Concepts and Applications of Voronoi Diagrams, 2nd Edition”は、ボロノイ図に関する標準的な教科書として世界中で利用されています。

代表的な論文として、Atsuyuki Okabe; Yasushi Asami; Fujio Miki (1985). “Statistical Analysis of the Spatial Association of Convenience-Goods Stores by Use of a Random Clumping Model”. Journal of Regional Science 25 (1): 11-28. doi:10.1111/j.1467-9787.1985.tb00291.x. が挙げられます。この論文では、コンビニエンスストアの空間配置を統計的に分析し、ランダムクラスタリングモデルを用いた空間的関連性の解析手法を示しました。この研究は、小売業の立地分析などに大きな影響を与えました。

岡部篤行氏の研究は、都市計画、地域開発、環境問題など、幅広い分野に影響を与え続けています。その功績は、東京大学名誉[[教授]]、日本学術会議会員などの肩書きからも明らかです。日本の地理情報科学分野における第一人者として、その業績は高く評価されています。今後の更なる発展にも期待がかかります。

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