岡野薫子

岡野薫子（おかの かおるこ）は、1929年2月28日に生まれ、2022年1月4日に生涯を閉じた日本の児童文学作家です。実業家であった大伯父の岡野繁蔵は「南洋の貿易王」と呼ばれていました。

生い立ちと経歴

東京で生まれた岡野薫子は、調布高等女学校（現在の田園調布学園中等部・高等部）を卒業後、戦時中は両親の実家がある藤枝で過ごしました。その後、東京農業教育専門学校附設女子部を卒業し、女学校の教師、科学雑誌の編集者、スライド製作者を経て、科学映画の脚本家として活躍しました。

35歳の時、『銀色ラッコのなみだ』で作家デビューを果たし、サンケイ児童出版文化賞、NHK児童文学奨励賞、動物愛護協会賞を受賞するなど、その才能は高く評価されました。1965年には『ヤマネコのきょうだい』で野間児童文芸推奨作品賞、1977年には『ミドリがひろったふしぎなかさ』で講談社出版文化賞を受賞しています。

作品の特徴

岡野薫子の作品は、動物を主人公にしたものが多く、それらは子供たちに自然への愛情や生命の大切さを教えてくれます。「うさぎのお店やさん」シリーズや「森のネズミたち」シリーズは、特に人気を博しました。また、『太平洋戦争下の学校生活』や『科学映画にかけた夢』などの自伝的作品や、『私を呼ぶ自然の仲間』のようなエッセイも執筆しており、多岐にわたる分野で才能を発揮しました。

長野県黒姫山に仕事場を構え、猫たちと生活しながら創作活動を続けました。自著の挿絵も自ら手掛けることが多く、銀座・鳩居堂画廊では定期的に個展を開催していました。2002年には、脚本と編集を担当したビデオ『岡野薫子の作品世界─文と絵と』が教育映像祭で優秀作品賞を受賞しており、児童文学界における重鎮としての地位を確立しました。2007年には、4年ぶりに「森のネズミ」シリーズの新作を刊行するなど、晩年まで精力的に活動を続けました。

主な著作

『銀色ラッコのなみだ 北の海の物語』
『ボクはのら犬』
『ヤマネコのきょうだい』
「うさぎのお店やさん」シリーズ
「森のネズミ」シリーズ
『太平洋戦争下の学校生活』
『科学映画にかけた夢』
『私を呼ぶ自然の仲間』
* 『猫には猫の生き方がある』

その他多数

岡野薫子の作品は、子供たちの心を豊かにし、自然への愛情を育む上で、かけがえのない存在となっています。

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