岩国市歌

岩国市歌の歴史と意義

岩国市歌（いわくにしか）は、山口県岩国市において制定された市歌であり、その歴史は二代にわたります。初代は1950年に制定され、作詞は瀬川秀雄、作曲は小松耕輔によるものであり、二代目は2016年に作詞・作曲の新たな作品として成立しました。この二つの市歌は、いずれも懸賞募集を経ずに、専門家の手によって市に寄贈された作品という点で共通しています。

初代市歌の制定

初代の「岩国市歌」は、1950年に岩国市が市制10周年を迎えるにあたり、その記念として誕生しました。この曲は、同年4月1日に開催された式典で初めて演奏されました。歌詞を提供したのは、地元の文学博士、瀬川秀雄で、彼は岩国市に深い愛情を持っていました。初代市歌は、津田弥吉市長が式典で触れた通り、地元民の心を歌ったものとして広く親しまれ、半世紀近くにわたって歌い継がれてきました。

しかし、2004年に行われた岩国地域の8市町村合併協議会によって、新市に向けて新たな歌が制定されることが決定し、初代市歌は廃止されることとなりました。他の7町村が制定した町村歌も同様に執行されたため、初代市歌は「地域の歌」として過去のものとなりました。合併に参加した町村の中には、由宇町の「由宇町民歌」や本郷村の「本郷賛歌」など、さまざまな歌が存在しました。

二代目市歌の誕生

2016年には、大合併から10周年を迎えるにあたり、岩国市は新たに市歌を制定することを決定しました。岩国市歌という名称は旧市歌を引き継いでいますが、内容は異なる楽曲です。この新たな市歌の制定の目的は、市民の結束をより強めることにあり、そのために再び地域の専門家である作詞の村田さち子と作曲の池辺晋一郎に依頼をしました。

新市歌は、同年3月19日の記念式典において発表され、すぐに市民たちに広まりました。後の広報活動においても、この市歌の歌詞は定期的に広報誌に掲載され、市民の記憶に残るよう努められています。また、岩国市は「英語交流のまち」というスローガンのもと、日本の他の自治体歌と比べて珍しいことに、公式の英語訳詞まで作成されました。

まとめ

岩国市の市歌は、その歴史を通じて市民の心をつなぎ続けてきた重要な文化資源です。初代、二代としっかりとした背景を持つこの曲は、地域に深く根付いた市民意識を表現しています。歌は単なるメロディーではなく、町の歴史や人々の想いを紡ぎながら、未来へと受け継がれていくものなのです。

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