岩崎富士男

岩崎富士男：広告界と教育界で輝いた才能

岩崎富士男（いわさき ふじお）は、1937年または1938年生まれ、2016年4月9日に78歳で生涯を閉じた、日本のクリエイティブ・ディレクター、作詞家です。彼は広告業界で名を馳せた後、教育者としても貢献しました。

博報堂での活躍

福岡県出身の岩崎は、法政大学を卒業後、広告代理店大手の博報堂に入社し、クリエイティブ・ディレクターとしてその才能を発揮しました。博報堂関西支社長代理を務めるなど、社内でも重要なポジションを担いました。彼の仕事は国内に留まらず、カンヌ国際広告フェスティバルグランプリを含む数々の国際広告賞を受賞し、世界的に高い評価を受けました。特に、パナソニックのCM「光のメニュー」は、果物の中で電球が光るという斬新なアイデアで、カンヌでのグランプリ獲得に大きく貢献しました。

教育者としての貢献

2000年、岩崎は大阪芸術大学の教授に就任し、次世代の育成に力を注ぎました。コピーライティングなどの専門知識を学生たちに教え、多くの才能を育て上げました。2004年には同大学の放送学科長に就任し、学科の発展に尽力。2006年からは図書館長も兼務し、大学全体の教育環境向上に貢献しました。

『キューティーハニー』の作詞

岩崎は「クロード・Q」というペンネームで作詞家としても活動し、特にテレビアニメ『キューティーハニー』のオープニング主題歌の作詞で広く知られています。この曲は、彼の広告業界での経験が思わぬ形で結実したものでした。元々、化粧品のCM案として考案したフレーズが採用されなかったものの、同僚がアニメの主題歌として使用したいと申し出たことを快諾したことがきっかけでした。当初は2番までの歌詞でしたが、急遽3番の歌詞が必要になった際には、電話口で即興で歌詞を書き上げたとされています。正体が不明だった当初は、原作者の永井豪や作曲家の渡辺岳夫の偽名ではないかという噂も流れました。

クロード・Q名義では他にも、JR東西線北新地駅のモニュメント「キタノザウルス」のテーマ曲「キタノザウルス キ・タ・ノ」の作詞も手掛けています。

博報堂ではアルバイトが禁止されていたため、作詞に関する権利は全て放棄していたというエピソードも残っています。

阪神・淡路大震災への貢献

1995年の阪神・淡路大震災発生時には、博報堂関西支社の一員として、避難所に設置された赤い枠の伝言カードの発案に携わりました。この伝言カードは、被災者同士が安否を伝え合うための重要なツールとなり、多くの人々の支えとなりました。

クリエイティブ・ディレクター、教育者、作詞家として多岐にわたる分野で才能を発揮し、社会に貢献した岩崎富士男。彼の功績は、今後も語り継がれていくことでしょう。

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