岩櫃城

岩櫃城の歴史

岩櫃城は、群馬県吾妻郡東吾妻町に位置する山城で、その歴史は古く、築城年代は不明ですが、南北朝時代に吾妻氏によって築かれたという伝承があります。吾妻氏は鎌倉時代にこの地を治めた一族で、その後、後期吾妻氏が支配しましたが、南朝方の攻撃で当主が戦死し、一族は衰退しました。

戦国時代になると、吾妻氏の末裔を称する斉藤憲次が岩櫃城を奪取し、その子である斉藤憲広の時代には、吾妻郡一帯を支配する勢力となりました。しかし、斉藤氏は上杉謙信や武田信玄といった戦国大名との間で勢力争いに巻き込まれ、最終的には武田氏の家臣である真田氏に攻め落とされました。

真田氏は、岩櫃城を上野国と信濃国を結ぶ要衝とみなし、大規模な改修を行いました。真田昌幸の時代には、織田信長・徳川家康勢に攻められた武田勝頼を迎え入れようとしましたが、実現せず武田家は滅亡しました。その後、真田昌幸は嫡男の真田信之に岩櫃城を守らせましたが、真田信之は幕府への配慮から慶長19年（1614年）に岩櫃城を破却しました。以降は、原町に陣屋を置いてこの地を統治しました。

岩櫃城の構造

岩櫃城は、岩櫃山の北東に伸びる尾根に位置し、吾妻川の西岸にあります。天然の地形を巧みに利用した堅固な山城で、西は岩櫃山、南は吾妻川へ下る急斜面、北は岩山に囲まれており、天然の要害となっています。城の中心部には本丸、二の丸、中城があり、北東には出丸の天狗丸、さらにその先に支城の柳沢城が位置しています。城内には沼田と上田を結ぶ街道が通り、放射状に配置された堀や出丸、番城、砦など複雑な構造をしていました。

現在の岩櫃城

現在は、町の史跡として指定されており、2017年には続日本100名城にも選定されました。また、2019年には国の史跡に指定され、貴重な歴史遺産として保護されています。発掘調査では、金属加工に用いる坩堝の一部が発見され、金粒子が検出されたことから、真田氏あるいは武田氏が支配していた時代に、城内で金の加工が行われていた可能性が示唆されています。

岩櫃城跡へのアクセス

岩櫃城跡へは、東吾妻町役場から車で約20分の距離にあります。城跡はハイキングコースとして整備されており、四季折々の自然を楽しみながら、歴史の面影に触れることができます。

まとめ

岩櫃城は、戦国時代の激しい戦乱を生き抜いた歴史的な山城であり、その堅牢な構造と戦略的な重要性は、現在でも多くの人々を魅了しています。真田氏によって築かれた城郭は、日本の歴史を語る上で欠かせない存在であり、今後もその価値は受け継がれていくでしょう。

もう一度検索