岩男寿美子

岩男 寿美子の生涯と業績

岩男寿美子（いわお すみこ、1935年1月2日 - 2018年1月11日）は、日本の社会心理学者であり、特に男女共同参画に関する活動で知られています。彼女は慶應義塾大学の名誉教授であり、長年にわたり教育及び社会に貢献してきました。

学歴と経歴

東京で生まれた岩男は、1957年に慶應義塾大学文学部を卒業後、エール大学大学院で心理学の博士号を取得しました。卒業後はハーバード大学で講師を務め、その後、慶應義塾大学新聞研究所にて助教授に就任。1975年には教授に昇進し、1999年には定年退職を迎えました。名誉教授としての活動を続ける一方で、武蔵工業大学（現・東京都市大学）で教授として教鞭をとり、2005年に退職しました。

岩男は多くの審議会にも参加しており、1981年には国民年金審議会の委員に任命され、翌年からは年金審議会委員も務めました。1986年には郵政審議会、1991年には外務人事審議会の委員に就任し、1992年から1994年にかけては国家公安委員会の委員を務めました。これらの役職を通じて、社会の発展に寄与する姿勢を貫きました。

社会的活動と功績

彼女の活動は学問や教育にとどまらず、国の重要政策に対する提言にも関わるものでした。特に、男女共同参画に強い関心を持っており、女性の地位向上に努めたことが評価され、2007年には旭日重光章を受章しました。

1992年に国家公安委員会の委員に就任した際には、さまざまな職業のOBに対する叙勲について尽力しました。危険業務に従事してきた人々が適切に評価されていない現状を正すべく、総理府の賞勲局に足繁く通い、最終的には3535名が叙勲を受けられるようになりました。この活動は、警察官や自衛官などの職種に対する認識を変化させるきっかけとなりました。

発言と思想

2006年2月、岩男は『ジャパンエコー』に寄稿し、「女系天皇」を支持する皇室典範に関する有識者会議の報告書を高く評価しました。この記事では、皇位継承に関する議論も交え、社会での伝統的価値観との対立についても触れています。特に廃絶した宮家の復活や側室制度の提案に対しては、時代錯誤であるとの批判を述べるなど、自身の思想を明確にしています。

著作活動

岩男は多くの著作を残しており、その中には『おんなの知恵 茶の間の談話室』や『外国人犯罪者 彼らは何を考えているのか』などがあります。これらの作品は、彼女の社会心理学に基づく独自の視点を提供し、学術界や一般読者に影響を与えています。共同著作や翻訳も多数行っており、社会学や心理学に関する研究を広める役割を担いました。

最後の日々

岩男寿美子は2018年1月11日に東京都渋谷区の病院で心のう血腫のため逝去しました。享年83歳でした。彼女の業績や活動は日本社会に大きな影響を与え、多くの世代にわたってその思想は生き続けることでしょう。

もう一度検索