岸本正壽

岸本正壽の経歴

岸本正壽（きしもと まさとし）は、1935年12月12日に生まれた日本の実業家である。オリンパス光学工業において社長や会長を務め、その経歴は多岐にわたる。彼のキャリアの初めは1954年、倉吉東高校を卒業したところから始まった。1958年には早稲田大学法学部を卒業し、同年にオリンパス光学工業に入社した。入社後は、自身の思い描いていた本社勤務にはまず就けなかったが、伊那市にある顕微鏡工場での勤務を通じて、工場全体を管理する原価管理の職務にやりがいを見出した。

岸本氏は、医療用光学機器の営業担当として、業務に精力的に取り組んだ。特に彼は、医学雑誌を熱心に読み込みながら顧客との信頼関係を築くことに努めた。その後、ドイツに派遣され、西ヨーロッパにおける市場開拓や販売網の整備を推進した。このドイツ時代、彼は毎月の売上目標達成を祝うパーティーを開催し、多忙な日々を送る中でも仕事への情熱を失うことはなかった。

1975年にはオリンパス・ヨーロッパの所長に就任し、1984年にはアメリカのオリンパスコーポレーションの社長となった。約13年間にわたり、岸本氏は欧米でのビジネスを展開し、1985年にはオリンパスの取締役に昇進した。1987年には経理部長、1988年には常務取締役に就任し、バブル経済の恩恵を受けて社宅の売却によって大きな利益を上げた。その後、経理部長としての職務に加え、広報室長も兼任し、1990年には最年少の専務取締役に就任する。

1991年には代表取締役専務に昇進。株価の底打ちを予測し、特定金銭信託の運用を増やすが、期待とは裏腹に株価の下降が続き、多額の含み損が発生した。1993年には下山敏郎の後を受けて代表取締役社長として就任し、1996年にはデジタルカメラ事業に参入し、高画質路線を採用して成功を収めた。1999年にはバイオテクノロジー事業への進出を決定し、経営の多角化を進めた。

2001年に菊川剛に社長職を譲り、代表取締役会長に就任。2003年にはオーストリアから栄誉ある勲章を受かげるなど、彼の業績が評価された。さらに、日本とドイツで重要な役割を担い続け、名誉ある勲章を次々と受章した。

2011年にはオリンパス事件が発生し、彼もまた、その件に関与したとされる。特に、当時の財務担当役員として粉飾決算の問題に関わった可能性が指摘され、岸本氏本人はその認識を否定しつつも、事象が事実であれば残念だと述べた。彼の豊かな経験と経営手法に加え、周囲との関係構築の重要性を強調し続けている。

関連書籍

• - 経済人の名言〈下〉―勇気と知恵の人生訓（2004年、日本経済新聞社）
• - 社長の書棚―決断をささえる一冊（2011年、生産性出版）

岸本正壽の影響力は、オリンパス光学工業の成長に大きく寄与し、特に欧米市場における顕著な成功例として評価され続けている。

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