岸辺のアルバム

『岸辺のアルバム』の概要

『岸辺のアルバム』は、1977年6月24日から9月30日までTBSで放送された、日本のテレビドラマです。原作・脚本を手掛けたのは山田太一で、プロデューサーは堀川敦厚です。この作品は、第15回ギャラクシー賞や30周年記念賞など数々の賞を受賞しており、今なお評価されています。

背景と制作意図

ドラマの背景には、1974年に実際に起きた多摩川の水害があります。この災害では堤防が決壊し、多くの家が崩壊しました。山田は、被災者が失ったのは家だけでなく、家族のアルバムという大切な記憶も含まれているという話を聞き、ここからこの作品の構想が生まれました。ラストで描かれる水害のシーンでは、実際の報道映像が使用されています。

主演を務めた八千草薫は、電話を通じて竹脇無我と不倫関係にある主婦を演じることに決まりました。彼女はそれまでのイメージを打ち破る新たな役に挑戦しました。当初は岸恵子が予定されていましたが、プロデューサーの意向により八千草が選ばれました。

ドラマのテーマとストーリー

このドラマは、倦怠期を迎えた夫婦や、成長過程にある子供たちの苦悩を描いています。家族の崩壊や、それぞれの秘密が明らかになりながら、最後には水害によって_HOME_を失う悲劇的な展開になります。全15話で構成され、視聴者に深い印象を残しました。

特に注目すべきは、オープニング映像です。平穏に見えた背景が突如として濁流に変わり、家庭が飲み込まれていく様を描くことで、この作品が伝えたいメッセージを強く印象付けています。また、ジャニス・イアンによるテーマ曲『ウィル・ユー・ダンス』は、この映像と相まって観る者の心を揺さぶる要素となっています。

評価と影響

平均視聴率は14.1%でしたが、放送後、その意義や評価が高まり、名作として認知されるようになりました。山田は、脚本家を目指す学生からこの作品がよく質問されると述べ、作品の特異性を示しています。このドラマはそれまでの「ハッピーエンド」型のホームドラマから一線を画し、新たなジャンルを創造しました。

ドラマ内では、それぞれのキャラクターが個々の秘密を抱え、さらには家族間の絆が薄れていく様子が描かれます。主人公たちが多摩川の岸で家族写真を撮るシーンは、表向きは平和そうでも、実際にはそれぞれに隠された暗い側面を持っていることを象徴しています。

まとめ

『岸辺のアルバム』は、単なる家族ドラマではなく、個々の秘密や社会背景をも反映した深い作品です。「家族」というテーマに対する新たな視点を提供し、日本のテレビドラマ界に大きな影響を与えました。現在もそのメッセージと記録は視聴者に残り続けています。

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