岸野久

岸野久（きしの ひさし）氏は、1942年生まれの日本の歴史学者で、特に日本キリシタン史を専門としています。東京府八王子市（現在の東京都八王子市）で生まれ、1975年に立教大学大学院文学研究科博士課程を単位取得満了しました。その後、桐朋学園大学短期大学部にて助教授、教授として教鞭を執り、2013年に退任されています。

2000年には、「キリシタン開教期の研究」で立教大学から文学博士号を授与されました。岸野氏の研究は、フランシスコ・ザビエルを中心としたキリシタン開教期の歴史に焦点を当てており、その業績は高く評価されています。

主な著書として、『西欧人の日本発見 ザビエル来日前日本情報の研究』（1989年）、『ザビエルと日本 キリシタン開教期の研究』（1998年、オンデマンド版2022年）、『ザビエルの同伴者アンジロー 戦国時代の国際人』（2001年、オンデマンド版2021年）、『ザビエルと東アジア パイオニアとしての任務と軌跡』（2015年）、『中国をめざすザビエル 上川島での活動と崇敬の端緒』（2023年）などがあります。

これらの著作を通して、ザビエルの日本への渡来、その後の活動、そしてキリシタン文化が日本社会に与えた影響について、詳細かつ多角的な分析を提示しています。また、ザビエルの同伴者であったアンジローという人物に焦点を当て、戦国時代における国際的な交流の側面も考察しています。さらに、ザビエルが日本に来る以前のヨーロッパにおける日本情報の収集状況や、ザビエルの東アジアにおける活動についても研究しています。

その他、共編・監修として『キリシタン史の新発見』（1996年、村井早苗氏と共編）、『フランシスコ・ザビエル』（2004年、監修）などがあります。翻訳では『大航海時代叢書 第2期 7 イエズス会と日本 2』（1988年、高瀬弘一郎氏と共訳）を手掛けています。

岸野氏の研究は、キリシタン史研究において重要な貢献をしており、日本の歴史に対する理解を深める上で欠かせないものとなっています。彼の著作は、研究者だけでなく、一般読者にとっても、キリシタン文化や戦国時代の国際交流に関心を抱くきっかけとなるでしょう。

岸野氏は、自身の研究を通じて、歴史的事実を丁寧に掘り起こし、その背景にある複雑な要因を明らかにするという姿勢を貫いています。そのため、彼の著書は、歴史研究における厳密さと客観性を兼ね備えていると評価されています。また、キリシタン史における新たな視点を提供し、研究の進展に貢献しています。

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