岸野雄三

岸野 雄三 - 日本の体育学者

岸野雄三（きしのゆうぞう、1918年5月13日 - 2001年1月19日）は、日本の体育学者として著名であり、教育界やスポーツ界に多大な影響を与えました。彼の生涯を通じた業績は、体育学の発展に寄与し、また数多くの優れた選手を育成する基盤を築く役割を果たしました。

人物・来歴

宮崎県に生まれた岸野は、1942年に東京文理科大学の哲学科を卒業しました。在学中には体操競技に打ち込み、1939年の明治神宮体育大会では個人総合で優勝を果たしました。この活躍により、1940年には東京オリンピックの候補選手にも選ばれましたが、オリンピックは開催されず、実現の機会はありませんでした。

卒業後は教職に進み、1946年に東京高等師範学校の助教授に就任。その後1949年には教授に昇格し、同年には東邦大学の助教授に転任、さらに1967年には教授に就任しました。また、東京教育大学では体操部の部長を務め、1974年から筑波大学で作成された体育科学系の教授として、体育科学系長や体育専門学群長といった重要な役職も歴任しました。

岸野は、1982年に定年退官後も名誉教授としての地位を保持し、早稲田大学の客員教授として教育活動を続けました。その後国際武道大学に移籍し、教授や副学長としても貢献しました。また、彼は日本体育学会の理事長を務め、日本学術会議のメンバーとしても活動。体操界では、東京五輪金メダリストの遠藤幸雄など、多くの選手を育成しました。彼の功績が評価され、1992年には勲三等旭日中綬章を受賞しました。

著書

岸野は著作活動にも力を入れ、多数の書籍や論文を手がけました。代表的な著書には、1959年に発表した『体育の文化史』や『体操の指導』、1971年の『ヒポクラテースの養生法 食養生と体操』があります。これらの著作を通じて体育や体操に関する知識を広め、多くの領域での教育に寄与しました。

また、共著や編著としても豊富な出版物があり、『近代日本学校体育史』や『鉄棒運動のコーチ 学校教材から高等技術まで』など、教育現場や体育の進展に資する内容が多く含まれています。1973年には、日本のスポーツ技術の歴史についての『スポーツの技術史 近代日本のスポーツ技術の歩み』も刊行されています。

さらに、翻訳にも取り組み、E.N.ガーディナーの『ギリシアの運動競技』を翻訳するなど、海外のスポーツ文化の知識も紹介しました。こうした多岐にわたる活動を通じて、岸野雄三は日本の体育学界における著名なファウンダーとして認識されています。

まとめ

岸野雄三は、体育学の発展に貢献した学者であり、後進の指導者としても優れた業績を残しました。彼の著書や教育活動を通じて、体育や体操に関する知識は広まり、今日の日本における体育教育基盤の形成に寄与しました。岸野の努力と情熱は、多くの人々に影響を与え続けており、彼の業績は今後も語り継がれることでしょう。

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