島原大変肥後迷惑

島原大変肥後迷惑

島原大変肥後迷惑（しまばらたいへんひごめいわく）は、1792年5月21日に発生した日本史上最大級の火山災害です。この災害は、安全性の高い肥前国島原（現在の長崎県）で起きた雲仙岳の火山性地震と、その後の眉山の崩壊に起因しています。さらに、この大規模な崩壊によって生じた津波が、島原や対岸の肥後国（現熊本県）を襲ったことから、「肥後迷惑」と名付けられています。

災害の概略

この災害による犠牲者は、約1万5000人に上り、長崎地区と熊本地区で多くの命が失われました。特に、新月の夜に発生したことや、満潮の時期であったことが、津波の被害を大きくする要因となったとされています。シミュレーションによると、山体崩壊は約180秒という短時間で完了したと推定されています。

災害の推移

この災害は、いくつかの段階に分けて進行しました。
1. 前駆地震群（1791年11月）: 雲仙岳西側で有感地震が多発し、震源が普賢岳へと移行しました。
2. 普賢祠前の噴火（1792年2月10日）: 普賢岳での噴火が始まり、溶岩流や火山ガスが放出されました。
3. 三月朔地震群（1792年4月1日）: 毎週のように群発地震が発生し、普賢岳から火が噴き上がりました。
4. 眉山山体崩壊（1792年5月21日）: 2度の強い地震によって眉山が崩れ、膨大な土砂が流れ込みました。
5. 続く地震と湧水変化: 崩壊後にも地震は続き、湧水が変化しました。

崩壊の原因

眉山の崩壊については、いくつかの仮説が存在します。有力な説の一つは、地震による崩壊です。さらに、火山活動によるものや、地滑りによるものであるとも考えられていますが、確定的な結論には至っていません。

津波の発生

山体崩壊によって、10メートルを超える高さの津波が発生しました。最初の津波は20分で肥後天草に達し、その後も土砂が海に押し寄せたことで再度の津波が島原を襲いました。この津波による最終的な死者数は、島原で約1万人、熊本で約5000人に達する見込みです。漂流物や堆積した土砂は今も形を残しており、九十九島と呼ばれる地形を形成しています。

災害の影響と遺産

この災害の影響は、地域の命や生活に甚大なものとなり、記念碑や供養塔が今も全国に点在しています。特に、1991年の調査においては、長崎県と熊本県に多くの供養塔や記念碑が確認され、その数は年々増加しています。

結論

島原大変肥後迷惑は、単なる自然災害に留まらず、日本の歴史に深く刻まれた出来事です。この災害は、地域の人々の意識や防災への取り組みに影響を与えるとともに、火山の持つ威力を再認識させるものでした。

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