島村渡船

島村渡船について

島村渡船（しまむらとせん）は、群馬県伊勢崎市に位置する境島村内を結んでいた渡船です。この航路は利根川によって分かれた地域を5分ほどで渡ることができ、約400メートルの距離を航行していました。渡船は、市道の一部として用意されており、運賃は無料で、主に住民の通行の便を図るために利用されていました。

運航の背景

利根川が地元を横断する形で流れているため、付近には橋が存在せず、島村渡船は地域住民にとって欠かせない交通手段でした。特に、1960年代半ばまでは境町立南中学校（現在の伊勢崎市立境南中学校）への通学時に利用されていました。2019年には、伊勢崎市が生活道路としての役割が失われたことを確認し、2021年に行ったアンケート調査では、47.7％の市民が渡船よりもイベントを目的とした遊覧運航を希望しました。

使用された船舶と運航時間

使用されていた船は、小型で川舟タイプのもので、エンジンを装備していました。基本的にはエンジンを用いて航行し、船着き場付近では櫂を用いるスタイルでした。1990年以降はエンジン付きの船が導入され、運航時間は午前8時30分から午後5時までを基本にしていましたが、昼休みや悪天候の際は運航を中止することも多く、欠航の場合には赤旗が掲げられて知らせられました。特に、毎年5月の第3日曜日には「島村渡船フェスタ」が開催され、地域の活性化イベントとして親しまれていました。

渡船の歴史

島村渡船の運航は江戸時代中期に始まったとされています。明治時代半ばには村営の竿漕ぎ渡し舟として存在していましたが、1951年に県道の一部となり、1955年からは旧境町が運航を担っていました。その後、2012年に伊勢崎市道に移管され、運営主体が伊勢崎市に変わりました。2011年には台風の影響で数回欠航し、一時的に航路の改修が必要とされましたが、2014年には観光利用が促進され、年間約1万人が利用しました。

しかし、2015年の大雨による利根川の増水で再度休航を余儀なくされ、2016年には復旧して再開しましたが、冬場や悪天候の影響で運航が難しいことが多く、2018年度以降は春から秋の期間のみの運航となりました。最終的には2019年の台風19号によって再度大きな被害を受け、2020年度以降は運航を止めるに至り、2022年には市議会の決議を経て廃止されました。

影響と今後の展望

この渡船の廃止は地元住民にとって大きな影響を与えました。便利な交通手段を失ったことで、地域の振興や移動手段に不便を感じる声も少なくありません。今後の地域振興策の一環として、イベントの策定や新たな交通手段の導入が求められるでしょう。島村渡船のような歴史ある交通機関が廃止される中で、地域がどのように発展していくのか注目されています。

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