島津久元

島津久元（しまづ ひさもと）

島津久元は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将で、薩摩藩の家老を務めた人物です。その生涯は、激動の時代の中で、武将として、そして藩の重臣として重要な役割を果たしました。

生い立ちと新納氏

久元は、島津忠長の次男として生まれました。その後、新納四郎忠真の養子となり、新納近江守忠在と名乗ります。新納氏の一員として、慶長4年（1599年）の庄内の乱や、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いにも従軍しました。これらの戦いでの経験は、後の彼の武将としての成長に大きく影響を与えたと考えられます。

島津氏への復帰

慶長14年（1609年）、兄である忠倍が32歳で亡くなると、父・忠長の願いにより新納氏を離れ、島津氏の家督を相続することになります。この時、島津下野守久元と改名しました。翌年には、地頭として馬越から宮之城へ移り、さらに父の死後には鹿児島へと移り住みました。この間、彼は着実に島津氏の一員としての地位を確立していきました。

薩摩藩の家老として

元和4年（1618年）、久元は主君・島津家久（忠恒）の家老に任ぜられ、藩政の中枢を担うことになります。元和7年（1621年）には、家久の命により正室と離縁し、家久の妹である御下と再婚するという出来事もありました。これは、藩内の政治的な力関係を反映したものであったと考えられます。寛永元年（1624年）には、家久の嫡子である光久が元服した際、理髪役を務めました。

戦乱への対応

寛永9年（1632年）には、加藤忠広が肥後国から改易された際、加藤氏側の反抗に備えて460人の兵を率いて出張しました。また、寛永14年（1637年）の島原の乱では、病床にあった家久に代わり、出陣する光久に従って出征しました。これらの出来事からも、久元が武将としての実力だけでなく、藩の危機管理においても重要な役割を果たしていたことが伺えます。

晩年

家久の死後も光久の家老として仕え、藩政を支えました。寛永20年（1643年）に63歳で亡くなりました。その生涯は、武将として、そして家老として、激動の時代を駆け抜けたものでした。

まとめ

島津久元は、その生涯を通して、薩摩藩の発展に大きく貢献しました。武将としての勇敢さ、家老としての優れた行政能力は、後世に語り継がれるべき功績です。


参考文献

* 『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

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