島津忠夫

島津忠夫：中世文学研究の巨匠

島津忠夫（1926年9月18日-2016年4月16日）は、日本の国文学を代表する学者の一人です。大阪府大阪市に生まれ、京都大学文学部卒業後、市岡高校、住吉高校などで教鞭を執り、その後佐賀大学、愛知県立大学を経て、大阪大学教授に就任しました。1978年には学位論文『連歌史の研究』で文学博士号を取得し、大阪大学名誉教授となった後も、武庫川女子大学などで後進の育成に尽力しました。

幅広い研究活動

島津氏の専門は中世文学で、連歌、俳諧、和歌に関する深い造詣で知られています。その研究成果は膨大で、『島津忠夫著作集』（全16巻）に集大成されています。中世文学研究において、その業績は高く評価されており、後世の研究者にも多大な影響を与えました。

歌人としての顔

学者としての活動と並行して、島津氏は自身も歌人として活躍しました。歌誌『マグマ』、『日本歌人』に所属し、現代歌人集会理事長も務めるなど、歌壇においても重要な役割を果たしました。歌人としての感性も、彼の文学研究に深みを与えたと言えるでしょう。

受賞歴と栄誉

島津氏の研究業績は数々の賞に輝きました。1998年には『和歌文学史の研究[和歌篇・短歌篇]』で第20回角川源義賞を受賞、2008年には『島津忠夫著作集』とこれまでの業績により第31回現代短歌大賞を受賞するなど、その功績は広く認められました。2007年には瑞宝中綬章を受章し、国家からその功績が讃えられました。

島津忠夫文庫

島津氏の業績を後世に伝えるため、2008年には岐阜県郡上市大和町の古今伝授の里フィールドミュージアムに「島津忠夫文庫」が開設されました。同文庫には、島津氏の著作や研究資料が収蔵されており、研究者にとって貴重な資源となっています。

主要な著作

島津氏の著作は多岐に渡り、単著、共編著、校注など、実に多くの作品を残しました。代表的な著作として以下が挙げられます。

著作集:

『島津忠夫著作集』（全16巻）

共編著:

『古今新古今とその周辺』(小沢正夫共編)
『和歌史の構想』(編著)
『小倉百人一首 日本のこころ』(櫟原聡共編著)
そしてその他多数

校注:

『雲玉和歌抄』
『百人一首』
『宗長日記』
* そしてその他多数

これらの著作は、中世文学研究の基礎となる重要な文献であり、現在も多くの研究者によって参照されています。

まとめ

島津忠夫氏は、学者として、歌人として、日本の国文学発展に大きく貢献した人物です。その多大な業績は、後世の研究者たちに大きな影響を与え続け、日本の文化遺産として大切に継承されていくことでしょう。彼の残した著作は、これからも多くの読者に学びと感動を与え続けることでしょう。 近本謙介氏の追悼文「島津先生との思い出」も、島津氏の温かい人となりを知る上で貴重な資料となっています。

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