島浩二

島浩二氏は、1947年生まれの日本の社会学者です。京都で生まれ、信州大学人文学部経済学科を卒業後、京都大学大学院経済学研究科博士課程を満期退学されました。その後、阪南大学商学部にて助教授、教授を歴任し、1995年には流通学部教授に就任されました。しかし、2013年に同僚の逮捕事件を大学側が事前に把握していたとされる問題に抗議し、大学を辞職されました。

研究分野としては、社会学の視点から住宅問題、伝染病、健康問題といった、社会構造と深く関わるテーマを扱っています。特に、著書『住宅組合の史的研究 イギリスにおける持家イデオロギーの源流』では、イギリスにおける住宅組合の歴史を詳細に分析し、持ち家という概念の形成過程を解き明かしています。また、『伝染病の社会史』では、感染症が社会に与える影響を歴史的な視点から考察し、『健康の社会史』では、健康に対する人々の意識や行動がどのように社会的な要因によって形成されてきたのかを論じています。

翻訳活動にも力を入れており、M.J.ドーントン編著の『公営住宅の実験』や、ジェフリー・クロシック編著の『イギリス下層中産階級の社会史』など、海外の研究を日本に紹介することにも貢献しています。特に『イギリス下層中産階級の社会史』では、訳者代表として翻訳全体を統括しています。また、マージョリー・ウォレスの『沈黙の闘い もの言わぬ双子の少女の物語』では、児童文学研究者であり妻の島式子氏と共同で翻訳を手がけています。

島浩二氏の研究は、現代社会が抱える様々な問題に対して、歴史的な視点から考察する重要性を示唆しています。社会構造が個人の生活に深く影響を与えていることを明らかにし、社会問題に対する人々の理解を深める上で、非常に重要な役割を果たしています。著書や翻訳を通じて、社会学的な知見を広く社会に発信し、社会の進歩に貢献している社会学者であるといえるでしょう。

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