島田荘司推理小説賞

島田荘司推理小説賞

島田荘司推理小説賞は、2008年に台湾で創設された、推理小説を対象とする文学賞です。日本の推理作家、島田荘司氏の協力を得て、台湾の出版社である皇冠文化出版が主催しています。この賞は、文藝春秋（日本）、当代世界出版社・青馬文化有限公司（中国）、南美出版社（タイ）といった各国の出版社が協賛し、国際的な規模で展開されています。

概要

この賞は、島田荘司氏が提唱する「本格」の定義に合致する、未発表の長編推理小説を対象としています。応募作品は中国語で書かれている必要があり、字数は8万から15万字と定められています。応募者の国籍や居住地は問われません。賞金は設定されていませんが、受賞者には規定の印税が支払われます。最終選考に残った応募者には楯が、一次選考通過者には賞状が贈られます。

選考プロセスは、まず主催出版社が一次選考で10作品を選出します。二次選考では、台湾のミステリー評論家などが3作品を選びます。最終選考は島田荘司氏本人が行い、受賞作品を決定します。

作品の刊行

受賞作品は、台湾（3000部以上）、中国（2万部以上。第2回は1万5千部）、日本、タイで刊行されます。第2回以降は、イタリアおよびマレーシア（英訳）でも刊行されるようになりました。最終候補作も、台湾と中国で刊行されます。最終選考まで残らなかった作品でも、優秀な作品は『皇冠雜誌』に掲載される場合があります。その場合は、雑誌の規定の原稿料が支払われます。

過去の受賞作品

第1回 (2009年)

受賞作: 寵物先生 - 虛擬街頭漂流記 （日本語訳：寵物先生（ミスターペッツ）『虚擬街頭漂流記』）
最終候補作: 林斯諺 - 冰鏡莊殺人事件、不藍燈（白一平） - 快遞幸福不是我的工作

第2回 (2011年)

受賞作: 陳浩基（香港） - 遺忘・刑警 （日本語訳：陳浩基（サイモン・チェン）『世界を売った男』）
最終候補作: 冷言（台湾） - 反向演化、陳嘉振（台湾） - 設計殺人

第3回 (2013年)

受賞作: 胡傑（台湾） - 我是漫畫大王（日本語訳：胡傑『ぼくは漫画大王』）
最終候補作: 文善（カナダ） - 逆向誘拐、雷鈞（中国） - 見鬼的愛情

第4回 (2015年)

受賞作: 雷鈞（中国） - 黃
最終候補作: 薛西斯（台湾） - H.A.、提子墨（カナダ） - 熱層之密室

第5回 (2017年)

受賞作: 黑貓C（香港） - 歐幾里得空間的殺人魔
最終候補作: 弋蘭（台湾） - 誰是兇手？、青稞（中国） - 巴別塔之夢



この賞は、華文ミステリーの創作を奨励し、アジアにおけるミステリー文学の発展に貢献しています。

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