島輪中

島輪中（しまわじゅう）についての詳述

岐阜県南西部、特に木曽三川流域に位置する「島輪中」は、長良川と早田長良川に挟まれた地域に形成された輪中です。この地域は、長良川が金華山を越えて流れる扇状地にあり、古くは長良川本流だけでなく、長良古川や長良古々川という分流も存在していました。現在の河川名を用いると、これらの分流はそれぞれ『早田長良川』と『正木長良川』として識別されています。

地理的特性

島輪中は、長良川と早田長良川の間に形成されていますが、その周囲には他の輪中も存在します。例えば、早田長良川と正木長良川の間には則武輪中が、伊自良川の合流地点近くには一日市場輪中が見受けられます。この地域は根尾川の扇状地にも近いため、これらの河川は互いに影響しあいながら水流を形成しています。

特に交人輪中は、濃尾平野における輪中の北端に位置しており、長良川と根尾川の交差点にあたります。ここは堤防による水害対策が必要な地域であり、輪中特有の地理的な特徴を引き立てています。

歴史的背景

島輪中の形成は、長良川の河道の変遷とも深く結びついています。1534年の洪水により長良川の本流が変更されたことが、その後の輪中の発展に影響を及ぼしました。その後も1611年と1614年の洪水によって本流が再び変わり、次第に現在の形に近づいていきました。

河道が変わる中で、自然に形成された微高地が人々によって居住地として開発され、現在では「近島」「旦島」といった地名にその名残が見えます。古くから人々はこの地域で生活しており、集落は堤防によって統合されていきました。

しかし、傾斜が緩やかな扇状地においては、堤防が下流側に建設されない「尻無堤」の状態が続いていました。河道が固定されるにつれ、河床上昇による逆水被害が増大し、1802年に則武輪中、1830年に島輪中の堤防が築かれるようになりました。

大正から昭和にかけての河川改修

明治時代に木曽三川分流工事が行われた結果、長良川の下流域での洪水は減少しましたが、島輪中周辺は手つかずの状態でした。これに伴い、災害が頻発し、請願運動も高まりました。大正時代に入ると、木曽川の上流改修工事が開始されました。

長良川の一本化を目的とした改修工事が1925年に始まり、岐阜市周辺の大型工事は1930年から実施されました。この際、早田長良川や正木長良川の分派口が閉じられ、1934年には伊自良川の合流地点が一日市場輪中の西側に変更される工事が始まりました。しかし、太平洋戦争によって工事は一時中断し、その後1950年から再開されました。

結局、1952年には改修工事が完了し、この地域における水害対策が大きく進展しました。島輪中は、歴史と地理が交差する場所として今もその存在意義を保っています。

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