川上秀光

川上 秀光

日本の都市計画家、都市計画学者。1929年10月19日、京都府に生まれ、2011年9月11日に東京都内の病院で逝去した。享年81歳。東京大学名誉教授、芝浦工業大学教授などを務め、日本の都市計画学の教育研究および実践に多大な足跡を残した。

経歴

1954年に東京大学工学部建築学科を卒業後、引き続き大学で研究活動に従事した。その後、1963年に同大学の助教授に就任し、研究者・教育者としてのキャリアを本格的にスタートさせた。1971年には、「都市基本計画の目標設定・構成内容と関連諸計画」と題する論文で東京大学より工学博士の学位を取得。都市計画における目標設定やその構成要素、関連する諸計画との連携に関する理論的な研究を深めた。1975年には東京大学教授に昇進し、長年にわたり後進の指導と学術研究の推進に貢献。1988年に東京大学を退官し名誉教授の称号を授与されるとともに、芝浦工業大学の教授に就任し、引き続き教育・研究活動を行った。

学会および公職での活動

学術団体や公的な審議会においても精力的に活動した。1981年には建築審議会の委員を務め、建築行政における専門的な見地からの提言を行った。特に、日本都市計画学会では要職を歴任し、学会の発展に大きく貢献した。1981年から1984年にかけては学術委員長として研究活動の活性化を主導し、1985年には副会長、そして1987年には会長に就任し、学会全体の運営と都市計画学の振興に尽力した。

都市計画実践への貢献（主に東京）

川上秀光は、理論研究のみならず、現実の都市が抱える課題解決や将来像の策定にも深く関わった。特に日本の首都である東京の都市計画には多大な貢献をしており、数多くの重要な委員会やプロジェクトで中心的な役割を担った。

学術的な活動としては、都市域や都市圏、環境計画に関する体系的な研究を主導し、その知見を政策立案にも活かした。東京都においては、長期的な都市のあり方を定める「東京都長期計画」の策定に関わる専門委員会委員や、新しい都市構想を議論する「新長期構想懇談会」の委員を務めるなど、東京都の骨格となる計画づくりに貢献した。さらに、東京湾の将来像、歴史ある隅田川の将来像に関する検討、都民大学の設置構想といった、具体的なプロジェクトや教育・文化施策の検討会でも委員を務めた。特に、大規模開発と環境保全の両立が求められる東京湾地域においては、「開発・環境保全専門部会長」として、専門的かつ総合的な視点から政策提言を行い、その実現に向けた調整役を担った。

これらの活動を通じて、川上秀光はアカデミズムの世界で培った高度な専門知識を、実際の都市が直面する複雑な問題解決や、より良い都市空間の創造に結びつけ、日本の都市づくり、特に東京の将来像形成に不可欠な役割を果たしたと言える。

主な著書

研究成果や都市計画に対する考えは、編著書としてもまとめられている。

『都市政策の視点』（編著、学陽書房、1981年）：地方自治と都市政策のあり方について論じた書籍。
『東京改造元年・その透視図 21世紀の国際都市に向けて華麗なる変身』（伊達良則編著、東京新報社出版部、1988年）：東京の将来像と国際都市への変貌について考察。
* 『巨大都市東京の計画論』（計画論研究会編、彰国社、1990年）：巨大都市東京の計画に関する理論や実践について詳述。

これらの著作は、当時の都市計画における主要な論点や、川上氏の視点を理解する上で重要な資料となっている。

2011年9月11日、敗血症により東京都目黒区の病院にて逝去。都市計画学界および実務界にとって大きな損失となった。

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