川中島将棋

川中島将棋：シャンチーを起源とする日本のボードゲーム

川中島将棋は、中国の伝統的なボードゲームであるシャンチーを基に日本でアレンジされた将棋の一種です。1894年（明治27年）に登場し、独特のルールと盤面で知られています。シャンチーの戦略性を踏襲しながらも、日本の将棋文化の影響が色濃く反映された、奥深いゲーム性を持っています。

ルール概要

盤面と駒

川中島将棋は、横9マス、縦10マスの盤面で行われます。黒（越軍）と白（甲軍）の2人が、それぞれ独自の駒を操作して対戦します。駒は、日本将棋と同様にマス目に配置されます。

盤面には「河」と「中堅（本丸）」と呼ばれる、シャンチーの「河」や「九宮」に相当するエリアが存在します。これらのエリアは、駒の移動に制限を加える重要な要素となります。

駒の種類と動き

川中島将棋には、それぞれシャンチーの駒に対応した7種類の駒があります。

将軍（将）： シャンチーの「将」「帥」に対応。前後左右1マスずつ移動できますが、中堅から出ることはできません。
近衛（近）： シャンチーの「士」「仕」に対応。斜め1マスずつ移動できますが、中堅から出ることはできません。
士官（士）： シャンチーの「象」「相」に対応。斜めに2マスずつ移動できます。ただし、「河」を越えることはできません。
軍曹（軍）： シャンチーの「馬」「傌」に対応。チェスのナイトのように、8方向に「桂馬飛び」しますが、隣に駒がある方向には移動できません。
騎兵（騎）： シャンチーの「車」「俥」に対応。縦横に何マスでも移動できますが、他の駒を飛び越えることはできません。
砲兵（砲）： シャンチーの「砲」「炮」に対応。縦横に何マスでも移動できます。相手の駒を取る際は、他の駒を飛び越えて移動する必要があります（飛び越さないと駒を取れません）。
歩兵（歩）： シャンチーの「卒」「兵」に対応。「河」を越えるまでは前方に1マスずつしか移動できませんが、「河」を越えると前と左右の3方向に移動できるようになります。

勝利条件

相手の「将軍」を詰めることで勝利となります。これは、日本将棋やシャンチーと同様の勝利条件です。

川中島将棋の魅力

川中島将棋は、シャンチーをベースとしながらも、独自のルールや盤面によって、日本将棋とは異なる戦略性と奥深さを生み出しています。「河」や「中堅」の存在が、駒の配置と移動に制限を加え、より複雑で駆け引きの要素の高いゲーム展開を可能にしています。シャンチーに親しんだプレイヤーも、日本将棋の経験者も、新鮮な戦略を体験できるでしょう。また、比較的ルールがシンプルであるため、初心者でも容易に理解し、プレイすることができます。

参考文献

『世界の将棋 古代から現代まで』梅林勲、将棋天国社、1997年

もう一度検索