川井秀幸

川井 秀幸について

川井 秀幸（かわい ひでゆき、1929年7月21日 - 2016年6月16日）は、宝塚歌劇団に所属し、演出家、脚本家、翻訳家として多大な影響を与えた人物です。兵庫県神戸市に生まれ、関西大学法学部を卒業後、1955年に宝塚歌劇団に入団しました。彼は、白井鐵造に師事し、そこでの成果を基に数々の公演で活躍することとなります。

キャリアの始まりと成長

川井は、1959年にカナダやアメリカでの公演に参加し、1965年にはフランス公演の舞台監督を務めました。彼の英語力は非常に高く、「オクラホマ!」、「回転木馬」、「ミー・アンド・マイ・ガール」、「キス・ミー・ケイト」といったブロードウェイミュージカルの企画や交渉、翻訳、通訳に携わる一方で、郷土芸能研究会では「鯨」、「ユンタ」といった日本の伝統的な文化をテーマにした作品の脚本や演出も手掛けました。また、長年にわたり機関誌「歌劇」においてブロードウェイミュージカルの内容を紹介するエッセイ「ミュージカル」を執筆しました。

1978年には「祭りファンタジー」を手掛けた後、プロデューサーに転身しました。彼は元企画部長および元宣伝課長としてもその手腕を発揮しました。

特徴的なエピソード

川井のキャリアの初期に、入団2年目の1956年には、ラインダンスの稽古中に当時の宝塚歌劇団の創立者である小林一三から、「上手から2番目にいるのは誰か」と尋ねられ、瞬時に答えられなかったというエピソードがあります。この出来事をきっかけに、小林から「全員の名前を覚えるように」という教えを受け、以後、川井は全ての劇団員の芸名や本名、愛称を含めて全て覚えるようになりました。

主な作品

川井の作品は多岐にわたります。主な公演として、1958年に雪組で上演された『鯨』、1959年の花組での『花田植』、1962年に月組の『花のみちのく』、そして1964年に雪組で演出した『火の島』は芸術祭文部大臣賞を受賞しました。さらに『ユンタ』や『藍と白と紅』なども彼の脚本や演出による著名な作品です。

1975年には星組の『美しく青きドナウ』や、1978年に月組の『祭りファンタジー』の公演も手掛け、特に後者は彼のプロデューサーとしての活動においても重要な作品として位置づけられています。

参考文献

• - 渡辺裕著 「戦後体制と国民文化」『宝塚歌劇の「日本民俗舞踊シリーズ」とその周辺』東京大学大学院
• - 『宝塚歌劇の60年別冊・年譜 最近の10年』（宝塚歌劇団）
• - 『日本民俗芸能資料目録』1979年（宝塚歌劇団 郷土芸能研究会）
• - 市橋浩二編『宝塚歌劇五十年史』（宝塚歌劇団）
• - 橋本雅夫編『宝塚歌劇の七十年』（宝塚歌劇団）

川井秀幸は、宝塚歌劇団の歴史において欠かせない存在であり、その影響力は今もなお多くの人々に愛されています。

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