川俣事件

川俣事件の詳細

川俣事件（かわまたじけん）は、1900年2月13日に群馬県邑楽郡佐貫村川俣で発生した、大規模な農民運動の衝突事件です。この事件は、農民が足尾鉱毒事件に関して政府に請願する途中、警官と衝突した結果として知られています。事件当時は「兇徒聚集事件」と呼ばれ、多くの農民が逮捕される結果となりました。

事件の背景と経緯

足尾鉱山による鉱毒の被害が深刻化する中、農民たちは田中正造議員を中心に連携を強化していました。1896年には鉱毒事務所が設立され、農民たちは東京での請願活動を決意します。1897年に行われた第1回請願には2000人が参加し、その後も規模を拡大しながら運動を続けましたが、政府にはあまり効果的に伝わっていないという現実がありました。

第4回押出しと川俣事件の発生

川俣事件が発生する前、農民たちは電報と鐘の連打で意思を疎通し、密かに行動を開始しました。2月13日の早朝、約700から800人の農民が雲龍寺に集まり、警官による解散命令に応じない状況が続きました。この時、警官たちは暴力的な手段を用い、農民に対して殴りかかり、事態は急激に悪化しました。警察は農民たちを制圧し、逮捕の波が押し寄せました。最終的には約67名の農民が逮捕されましたが、その後の詳細な経緯は証言が食い違い、混乱を引き起こしました。

裁判の流れと影響

川俣事件後、逮捕された農民たちは起訴され、裁判が行われました。起訴無効に至る仙台控訴審に至るまで、多くの弁護団が組織され、無償で活動しました。この裁判は、農民たちの運動に対する広範な関心を集め、一部の新聞では事件が報道されました。裁判の途中で判決が下されましたが、ほとんどが無罪となり、検察側の立場を大きく揺るがす結果となりました。

特に、仙台控訴院での取引条件や法的手続きの不備が指摘され、再度の裁判の必要性も生じました。このような流れは、社会的な関心を高め、結果的に鉱毒問題への取り組みを活性化させる要因となりました。

事件後の影響とその後

事件は翌世代に影響を及ぼし、社会運動の風潮に影響を与えました。特に田中正造は、事件の後も国会での活動を続け、政府や社会へのアプローチを試みる姿勢を崩しませんでした。事件後100年が経った2000年には、建立された記念碑が現在にもその象徴を伝えています。

川俣事件は、その後の農民運動の在り方や、社会全体への影響を考える上で、重要な歴史的事例となっています。

もう一度検索