川北篤

川北篤：植物と昆虫の共進化を追う植物学者

川北篤氏は、日本の植物学者であり、東京大学大学院理学系研究科の教授として教鞭を執る傍ら、同研究科附属植物園の園長も務めています。京都大学で博士号を取得後、助教、准[[教授]]を経て東京大学へ異動。植物と昆虫の関係、特に共進化の研究において、目覚ましい業績を上げています。

生い立ちと研究への目覚め

川北氏は、高校時代までサッカーに熱中する日々を送っていました。大学進学の際、「人と違うことをしたい」という思いから、周囲が東京大学を目指す中、京都大学の生物学科を選択。生態学の屋外授業を受けたことがきっかけで、植物の世界に足を踏み入れます。サッカーサークルを辞め、ラーメン屋でアルバイトをして研究資金を稼ぎ、全国を旅しながら調査を行うというユニークな学生時代を過ごしました。その中で、メイガと花粉に関する論文を執筆し、研究者の道を志すようになったと言います。

研究活動

川北氏の研究テーマは、植物と昆虫の共進化です。特に、カンコノキ属の植物とハナホソガという蛾の絶対送粉共生系に関する研究は、国際的にも高く評価されています。これは、特定の植物と昆虫が互いに依存し合い、進化してきた関係を明らかにするもので、生物多様性の理解を深める上で重要な貢献をしています。

東京大学大学院理学系研究科附属植物園園長として

2021年4月、川北氏は東京大学大学院理学系研究科附属植物園の園長に就任しました。小石川植物園は、日本の近代植物学発祥の地として長い歴史を持つ一方で、施設の老朽化が課題となっています。川北氏は、植物標本館の新設を計画していますが、その費用は20億円に上ると予想されています。資金調達の困難さを語りながらも、植物園の未来を見据え、情熱を注いでいます。

受賞歴と著作

川北氏は、その研究業績が認められ、2007年に第1回種生物学会片岡奨励賞を受賞しています。また、共編著として、共進化や種間関係に関する書籍を多数出版しています。

『共進化の生態学：生物間相互作用が織りなす多様性』（文一総合出版、2008年）
『種間関係の生物学：共生・寄生・捕食の新しい姿』（文一総合出版、2012年）
『植物アロマサイエンスの最前線：植物はなぜ香りを発するのか』（フレグランスジャーナル社、2014年）
Obligate Pollination Mutualism. Springer, 2017.
* 『花と動物の共進化をさぐる：身近な植物に隠れていた新しい花の姿』（文一総合出版、2021年）

植物学の未来へ

川北篤氏は、植物と昆虫の共進化研究を通じて、生物多様性の理解を深め、その保全に貢献しています。東京大学大学院理学系研究科附属植物園園長として、次世代の研究者育成にも力を注いでおり、日本の植物学の発展に大きく貢献することが期待されています。

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