川尻徹

川尻徹について

川尻徹（かわじり とおる）は、1931年6月7日に生まれ、1993年9月に亡くなった日本の精神科医であり、予言研究家です。彼は東京慈恵会医科大学を卒業した後、国立精神衛生研究所での勤務や青梅成木台病院の院長を務め、病院コンサルタントとしても活動しました。川尻の研究は精神医学に関するものであり、「慢性精神分裂病症候群の病態推移と脳波パターンとの関連について」という論文を東京慈恵会医科大学雑誌に掲載しました。この論文は、後に彼の博士論文として提出されました。

予言研究と主張

川尻はノストラダムスの予言に特に注目し、その解釈を行うことで知られています。彼は、アナグラムを利用し、フランス語以外の言語でも予言を読むことが可能であると主張しました。これは主に日本語での解読に基づいており、ローマ字に並べ替える手法も使用しています。また、彼はノストラダムスの予言が実際に的中している理由を、秘密の組織が歴史を操っているためだとする独自の陰謀論を提唱しました。この組織には、歴史的な人物や出来事が関与しており、それらが偽装された死や替え玉であるとして、実際には裏で生きているとする見解を示しています。さらに、「聖書やノストラダムスの中に600万人のユダヤ人の虐殺を示唆する言及はない」とする理由から、ホロコースト否認の立場もとりました。

川尻の予言に対する考えや陰謀論は、オウム真理教にまで影響を与えたとされています。彼はノストラダムスの予言だけでなく、松尾芭蕉の『奥の細道』や歌川広重の『東海道五十三次』にも予言が含まれていると解釈しました。また、ファンから寄せられた手紙の中にも暗号が潜んでいるとして、「解読」を試みたこともあります。

受賞歴と書籍

川尻はトンデモ本として知られる著書を数多く出版し、1992年には『ノストラダムス戦争黙示』や『ノストラダムス複合解釈』が第1回日本トンデモ本大賞に選ばれました。彼の著書には、『第三帝国のたそがれ』や『滅亡のシナリオ』、さらにはシリーズとして多くのノストラダムス関連書籍が存在します。公称発行部数が高いものとしては、『ノストラダムス 暗号書の謎』があり、19.5万部に達しました。これらの作品はいずれも彼の特異な視点での予言の解釈や暗号理論を展開したものです。

また、川尻はトンデモ本の世界においても注目され、山本弘の著書『トンデモ本の世界』で取り上げられています。彼は友人から自身の名前が山本五十六に似ていると言われたエピソードを語り、次の著書ではそのことがどのように影響するか心配していたこともありましたが、その後の著作には特に関連する記述は見られませんでした。

結論

川尻徹は、予言研究と精神医学の領域で独自の影響を持った人物です。彼の研究は精神科医としての専門性に基づいていますが、同時に独自の解釈や陰謀論が展開され、トンデモ本の一翼を担う著作が多く存在します。彼の残した著作群は、今なお多くの人々に影響を 与え続けています。

もう一度検索