川成洋

川成 洋：スペイン内戦研究の第一人者とその多様な活動

川成洋氏は、1942年北海道生まれの英文学者、スペイン史学者、評論家、そして翻訳家です。その専門は多岐に渡り、特にスペイン内戦に関する深い知識と造詣の深さで知られています。

学歴と経歴

北海道大学文学部卒業後、東京都立大学大学院修士課程を修了。その後、ロンドン大学とケンブリッジ大学で客員研究員として研鑽を積みました。1977年には法政大学理工学部教授に就任し、2013年に定年退職、名誉教授となりました。2003年には、一橋大学より「スペイン内戦を戦ったイギリス人義勇兵の研究 - ケンブリッジの若き文士たちを中心にして」という学位論文で社会学博士号を取得しています。2022年には、その功績が認められ、瑞宝中綬章を受章しました。

研究と著作活動

当初は英文学を専攻していましたが、スペイン内戦に強い関心を抱き、その研究に没頭しました。スペイン内戦に関する著作は多岐に渡り、『スペインへの道』、『スペイン未完の現代史』、『青春のスペイン戦争 ケンブリッジ大学の義勇兵たち』など、数多くの書籍を執筆しています。これらの著作は、スペイン内戦の歴史的背景、参加した人々の心情、そしてその後のスペイン社会に与えた影響などを詳細に分析し、高い評価を受けています。特に、ケンブリッジ大学の学生が義勇兵としてスペイン内戦に参加した様子を描いた著作は、貴重な歴史的証言として高く評価されています。

スペイン内戦に関する研究に加え、イギリス文学、スペイン文化、大学制度、さらには古書店や図書に関する著書も多数出版しています。『大学崩壊!』など、大学制度の現状を鋭く批判した著作も注目を集めました。さらに、評論家としても活躍し、幅広い分野で知的な発信を続けています。翻訳家としても、多くの英文学作品やスペイン関連の書籍の翻訳を手掛けており、その翻訳力は高く評価されています。

主要な著書

川成氏の著書は、スペイン内戦に関するものから、大学制度、英国文化、古書店、さらには読書論まで多岐に渡ります。代表的な著作を以下に挙げます。

スペイン内戦関連: 『スペインへの道』、『スペイン未完の現代史』、『青春のスペイン戦争 ケンブリッジ大学の義勇兵たち』（改題『スペイン戦争青春の墓標 ケンブリッジの義勇兵たちの肖像』）、『スペイン戦争 ジャック白井と国際旅団』（改題『ジャック白井と国際旅団 スペイン内戦を戦った日本人』）、『スペイン国際旅団の青春 スペイン内戦の真実』（改題『スペイン内戦 政治と人間の未完のドラマ』）、『スペイン内戦と人間群像』など
大学制度批判: 『だから教授は辞められない 大学教授解体新書』、『だけど教授は辞めたくない』、『大学崩壊!』など
* その他: 『スペイン幻想物語』、『スペイン通信 自由への闘い』、『スペイン三都物語 マドリッド・バルセロナ・セビーヤ』、『スペイン読書ノート』、『スペイン雑記』、『スペイン 光と影の出会い』、『幻のオリンピック』、『本が語る現代』、『書林探訪 味読、乱読、精読のすすめ 書評集』、『スペイン歴史の旅』、『紳士の国のインテリジェンス』、『英国スパイ物語』、『スペイン通史』など。

これ以外にも多くの共著、編著、翻訳作品があります。

業績と評価

川成洋氏は、スペイン内戦研究における第一人者として、その業績は高く評価されています。その著作は、歴史研究、文化研究、そして社会批評という多様な視点を提示し、現代社会を考える上で貴重な示唆を与えてくれています。多様な分野に渡る深い知識と、鋭い洞察力、そして明快な文章表現によって、多くの読者に影響を与え続けている、重要な知識人と言えるでしょう。

もう一度検索