川戸貞吉

川戸 貞吉（かわど さだきち）

川戸貞吉は、1938年1月20日に生まれ、2019年3月11日に逝去した、日本の演芸評論家です。彼の名跡は「都家西北」として広く知られています。落語界での影響力は大きく、多くの著名な落語家たちとの繋がりを持っていました。また、妻はアナウンサーやジャーナリストとして活躍した川戸恵子です。

経歴と背景

神奈川県横浜市出身の川戸は、早稲田大学に入学後、落語研究会に参加しました。在学中に彼は、7代目立川談志となる柳家小ゑんや、三遊亭全生、林家照蔵、3代目古今亭志ん朝となる古今亭朝太などの若手落語家たちと親しくなり、落語にのめり込むこととなります。この頃、8代目桂文楽の支援を受け、落語の録音や文献のコレクションを始めました。

1961年にTBSへアナウンサー7期生として入社し、アナウンサーとしてのキャリアをスタートさせました。同僚には、田淵威、恒田光男、新村尚久、平山允などがいました。彼は入社後すぐに報道局ニュース部に配属され、ライフル乱射事件の現場リポートなどを行い、その後、テレビ編成局でディレクターやプロデューサーとして落語番組を数多く制作しました。

落語評論家としての活動

1989年にはTBSを退社し、その後は演芸評論家としての活動を本格化させました。1968年には第五次落語研究会を企画し、落語家との対談を通じて落語の魅力を広める「現代落語家論」シリーズを発表しました。彼の収集した落語の録音テープは日本でも有数ともされ、TBSラジオの『早起き名人会』などで放送されたほか、『席亭 立川談志の「ゆめの寄席」』などとしてCD化もされています。

彼は落語界内で強い影響力を持ち、立川談志からは「貞やんを（落語界で）知らぬ者はいない」と称賛されました。しかしながら、時には事実誤認に基づくトラブルも経験しました。2002年には春風亭小朝の文章に激怒し、その抗議の結果、関連する雑誌は回収され訂正記事が掲載されました。これは、事実確認が行われずに書かれた内容が自身に対する攻撃と受け取られたからです。

2008年には、NHKラジオの『ラジオ名人寄席』での一連の問題に対して不満を表明し、同局に対し批判を行いました。この一件では彼の運動が影響を及ぼし、結果としてNHKは演芸番組の放送に関する方針を見直すこととなります。彼の活動は、日本の落語や演芸のあり方に重要な変化をもたらしたと言えるでしょう。

最後の日々

川戸は2019年に81歳で亡くなりました。彼の死後、多くの落語ファンや演芸関係者から惜しまれ、歴史に名を刻んだ人物として語り継がれています。彼は古今亭志ん朝の初高座を生で見た数少ない人物の一人であり、彼の影響力は今もなお多くの演芸人やファンに感じられています。

出演番組と著書

川戸はTBSラジオの多くの番組に出演し、特に1980年から1989年まで放送された『早起き名人会』では進行役を務めました。また、彼の著書としては『落語大百科』や『現代落語家論』などがあり、これらも大変高く評価されています。彼の業績は後世にわたって、落語の発展に寄与し続けるでしょう。

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