川添登

川添 登: 日本の建築評論家

川添登（かわぞえ のぼる、1926年2月23日 - 2015年7月9日）は、日本における建築評論の先駆者であり、都市や文明の批評家としても知られています。彼は1953年から1957年まで『新建築』誌の編集長を務め、当時の建築界における重要な論争を引き起こしました。彼の思想は建築評論にとどまらず、民族学や生活学など多様な分野にわたって展開されました。

人物背景と教育

東京都に生まれた川添は、駒込で育ち、早稲田大学で建築と心理学を専攻しました。大学を卒業した後、彼は今和次郎研究室の助手として活動しながら、建築学科をも修了しました。1953年に『新建築』社に入社し、編集スタッフとしてのキャリアをスタート。その後、編集長に就任しました。

建築ジャーナリズムの確立

川添は1950年代から60年代にかけて、日本建築界における思想的な流れを導く存在となりました。彼は『新建築』を通じて、建築家に対して論文の執筆を促し、建築の思想的背景について考察する機会を提供しました。その中で「日本建築のルーツ」や「表現方法」を探るために多くの論争を引き起こし、日本の建築家たちに問いかけ続けました。また、「岩田知夫」というペンネームを用いて他の雑誌にも寄稿し、広範な議論の場を形成しました。

1957年、川添は『新建築』における村野藤吾の批評を巡る一件で編集部から解雇され、以後はフリーの建築評論家として独立しました。これにより、彼は自身の考えを自由に表現することが可能になり、さらなる発展を遂げていきます。

メタボリズム運動と国際的活動

1960年には、世界デザイン会議の日本実行委員に就任し、建築家の槇文彦、黒川紀章らと共に「メタボリズム」運動を展開します。彼はメタボリズムの理念を広める中心的な役割を果たし、その成果として著書『METABOLISM 1960 都市への提案』を出版しました。この書は地方建築の視点を国際的に認知させるきっかけとなりました。

その他の活動

川添は1970年に大阪万博でテーマ館のサブプロデューサーを務め、これに伴い日本未来学会を設立。様々な研究所やシンクタンクの設立に関与し、議論を鋭く展開しました。また、自身の学びを次世代に伝えるべく、大学教授としても活躍しました。主な受賞歴としては、1960年に毎日出版文化賞、1982年に今和次郎賞、1997年には南方熊楠賞があります。

著作と影響

川添の著書には、建築に関する多くの著作があり、著名なものには『現代建築を創るもの』『日本文化と建築』などがあります。これらの作品を通じて、彼は現代の日本建築の理解を深め、幅広い観点から研究を行っ てきました。不朽の名作を生み出した建築家たちへの影響力は計り知れません。

2015年に肺炎のため89歳で逝去。彼の業績や思想は、今なお多くの人々に影響を与えつづけています。川添登は日本の建築評論界における重要な人物でした。

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