川越制度

川越制度について

川越制度（かわごしせいど）は、日本の歴史において、川を渡る際の特定の仕組みを指します。この制度では、橋が架けられず、洗い越しや輦台（れんだい）、馬越などを採用して川を渡ることが求められました。制度を運営するために設けられた川会所では、その日に川を渡るための人足を雇うための切符が発行され、川札や台札と呼ばれる証明書が使用されました。しかし、この制度は明治維新以降、廃止されることとなりました。

制度の運営と役職

川越制度の運営は、最初は島田代官や宿場役人によって管理されていましたが、1696年には川庄屋と年行事が任命され、制度が確立されました。年行事は、高齢の川越人足から選ばれ、川越料金の徴収や帳簿の記帳、人足の配置といった具体的な業務を担当しました。川庄屋は伝馬方から選ばれ、その日の料金を設定する役割を果たしました。

さらに、小頭（こがしら）、川越仲間の口取、待川越（まちかわごし）などの役職も存在しました。中でも待川越は、川の水深や幅を計測する役割を担っており、その正確な情報が渡河の安全に寄与していました。

川越人足は、通常12歳頃から雑用を見習い開始し、15歳からは水入という訓練期間に入ります。そして、一人前と認められた後は、川会所に許可を受けてから正式に川越人足としての業務を行うことができました。さらに、川越人足としての経験を積むことによって、本川越や待川越、口取といった階級に昇進する道が開かれていました。

営業時間と水深

川越制度の下では、明け六ツ（午前6時ごろ）から暮六ツ（午後6時ごろ）の間が基本的な営業時間と定められていましたが、特別な許可を得ることで夜間に水を渡ることも可能でした。このような夜間の渡河を「越立」と呼びました。

水深が4尺5寸（約1.4メートル）以上になると、「川留」や「川支」といって業務を休止せざるを得ませんでしたが、幕府が運ぶ文書の箱である御状箱は水深5尺（約1.52メートル）まで許容されていました。

川越の料金と渡河方法

川越の料金は、渡る方法や水深によって異なる仕組みとなっていました。水深が深くなるほど料金は高く、様々な渡河方法が存在しました。たとえば、肩車や連台越（複数の人足と台車を利用する方法）、二人の人足が持つ棒につかまる棒渡し、武士専用の馬越しなどがありました。

大井川においては、帯通二尺五寸（約76センチ）までは水が常に流れている状態でありましたが、それ以上になると「手張」と呼ばれる補助者が必要となり、付添人分の川札も合わせて用意しなければなりませんでした。また、自分で渡る自力での渡河は基本的に禁止されていましたが、相撲取りや巡礼者、非人（社会的に干渉されにくい層）がそれに対して例外として認められていました。

川越制度の歴史的意義

川越制度は、特定の川を越えるための制度として、地域の交通手段に大きな影響を与えていました。特に、江戸時代では、物流の確保や人々の移動において重要な役割を果たしていました。また、歴史的に評価されるべき文化や人々の生活様式を知る上でも、川越制度は興味深いテーマであると言えます。

出典・関連項目

• - 大井川 － 川越制度が行われていた例
• - 島田宿大井川川越遺跡が現在も存在

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