川越商業銀行

川越商業銀行の歴史

川越商業銀行（かわごえしょうぎょうぎんこう）は、1896年7月29日に埼玉県入間郡川越町（現在の埼玉県川越市）で創立された金融機関です。設立当初の資本金は10万円であり、地元の豪商竹谷兼吉が専務取締役に就任しました。彼と共に、取締役には佐野三綱、高山仁兵衛、高橋幸助、戸田与八が名を連ね、銀行の発展を支えました。

設立後の業績は良好で、1898年には資本金を20万円に増資し、さらに1902年には30万円に達しました。この頃の決算報告によると、証券や預金などの主要な財務情報は次の通りです。資本金は30万円（そのうち27万円が払込済）、積立金は38,136円、預金は111,626円に上りました。また、この時点での株主配当率は年1割、株主数は221名、役員および従業員は15名で運営されていました。

川越商業銀行は、同エリアに存在する第八十五銀行や黒須銀行支店などのライバルとも競争しながら、順調に業務を拡大していきました。しかし、1907年には取締役の高山仁兵衛が経営する高山仁兵衛商店が投機の失敗から破綻し、銀行にも大きな影響を及ぼしました。この影響で、川越商業銀行では取り付け騒ぎが発生し、多額の45,000円の払い出しが求められる事態となりました。

1914年には入間川支店を新設し、営業基盤を広げました。しかし、経営状況は改善せず、1916年には資本金を20万円に減資することになりました。続いて、1919年9月には第一次世界大戦の好況を反映し、資本金を60万円に増資することで立て直しを図りました。しかし、1920年の反動恐慌によって、再び経営に深刻な影響を受けることになります。

最終的に、川越商業銀行は1921年12月に武州銀行に合併されます。これにより、川越商業銀行本店と入間川支店は武州銀行の支店となり、約25年間の歴史を締めくくりました。この銀行は小規模ながら、地域経済の一端を担っていたことが伺えます。

参考文献

川越市総務部市史編纂室 編『川越市史 第4巻（近代）』川越市、1978年。全国書誌番号:78018702

このように、川越商業銀行は地域の歴史の中で価値ある役割を果たした銀行であり、その設立から消滅までの経緯は地方銀行の発展と変遷を物語っています。

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